コロナ煽り報道のテレビと無策の政治にやってほしい4つの対策アイデア【元芸人・作家の松野大介】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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コロナ煽り報道のテレビと無策の政治にやってほしい4つの対策アイデア【元芸人・作家の松野大介】


 24日午後、安倍総理が新型コロナの感染症法の分類「2型相当」を見直すと発言。これまで症状の軽い陽性者までも入院措置としてきたことを、自宅療養を可能にすることで医療崩壊を防ぐ等の狙いがある。(※28日、安倍総理は突然の辞任会見では指定感染症引き下げの具体的な発言はさけた)
 そのニュースを受けて、5月からテレビ報道のインフォデミックを指摘してきた元芸人の作家・松野大介氏が、専門家とは違う角度からマスコミ・政治に行なってほしいユニークな対策を提言。


■新型コロナを商売にする人たち

2020年8月28日、安倍首相が会見。新型コロナ対策と辞意表明(代表撮影/ロイター/アフロ)

 

 私は前回の寄稿で、指定感染症から外す議論の必要性に触れた(SNSでは5月から言ってきた)が、政府が「2類相当」からの引き下げを決断したら、煽り報道を続けてきたワイドショーやニュース報道には、不利な進展だろう。
 最近、マスコミ関係の知人が、電話で私にこう言った。
「今は死亡者も減ったし、みんなコロナの実情を知ったから、もうトレンドに入らない。今は半沢直樹だ」
 この言い草でわかる通り、一部(半数?)のマスコミ人は、コロナを単なる商売コンテンツにしているが、今や多くの人が煽り報道に気づいている。
 私は専門家ではないので、今回は煽り報道を止める方法という主旨で、テレビと政府に行なってほしいアイデアを書いた。

■指定感染症の引き下げ

 指定感染症は、
 1類 エボラ出血熱、ペスト
 2類 結核、SARS、(新型コロナ)
 3類 コレラ、腸チフス
 4類 E型肝炎、狂犬病
 5類 インフルエンザ、梅毒
(出典:産経新聞8/26)

 日本ではインフルエンザが例年で1万人の死亡者を出し、1千万人ほどが感染。国内では新型コロナより被害が大きい。そのインフルが5類。新型コロナは同じコロナのSARSと2類。すでに未知のウィルスではなく、SARSほど強力ではなく若年層の致死性がインフルより低い可能性が高くなった今、インフルと同等まで格下げされてもいい(※掲載時以降に動きがあることを願う)。
 最大の感染国アメリカ(感染者数580万人超)は自宅療養が多く、世界的に見て流行してない日本(6万4904人 8/26時点NHKまとめ)は、指定感染症のため病院・ホテル等に隔離してきた。
 ワイドショーは「全員検査して陽性なら隔離」を訴えると同時に「医療崩壊」も訴えていたが、検査拡充し、陽性反応が出ても症状がない元気な若者で病院が占拠されれば、医療が逼迫するのは当たり前。
「2類相当」から引き下げられれば、そういうダブルスタンダードな煽りも出来なくなり、インフォデミックも縮小するだろう。

■医療拡充に数十兆円規模の予算

 5月からやってほしかった(やるのが当然と思っていた)もうひとつは、医療拡充に莫大な予算投入。
 春の緊急事態宣言の最中、「医療従事者を守る・医療崩壊を防ぐ」ことも感染防止の理由となった。
 前回書いたように日本は保健所数が847(1994年)から469(2020年)【※「保健所数の推移」(厚生労働省健康局健康課地域保健室調べ 令和2年4月1日現在)】と四半世紀かけて378に。約44%も減らされた。ちなみに3万5000人超の死亡者を出したイタリアも財政健全化として医療予算を削ったことが医療崩壊の理由の1つ。
 6月12日に、2次補正案が成立し160兆円になり、コロナ予算とも言われた(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60287960S0A610C2MM8000/)。

 しかし翌7月、日本病院会など3団体が行なった調査では、全国1200の病院のうち、コロナ患者を受け入れた病院の中では8割近くが赤字となったとのこと。感染を恐れ利用者が通院を控えたり、病院側が感染防止で入院を減らすなどによってという。
 政府が潰れそうな病院や医療従事者への補償・報酬などに何十兆円も注ぎ込めば、重症者も軽症者も治療でき、医療従事者やコロナ以外の重病人を守るための自粛は不必要になり、安定的に経済が回せることに繋がる。
 しかし赤字の病院が救われたという具体的な話は聞かない。各自治体から「減らした保健所を増やす」とか、医療拡充の声は聞かれない。7月に多くの知事から聞かれたのは、「感染拡大につき不要不急の外出は控えて」や「休業要請」や県独自の緊急事態宣言。
 要請だから補償金も手厚くしない。国民・県民に金銭と行動で我慢を強いる。テレビはそういう政策を批判せず、政治の言う通りに自粛を促し、ひたすら陽性者数をセンセーショナルに報じた(https://www.fnn.jp/articles/-/67497)。

「お金を医療(補償にも)に極力使いたくない」政治と、「視聴者を不安にさせ自粛させて視聴率を上げたい」テレビ。両者はこの点で利害関係が一致して見える。テレビが批判したのは政治ではなく、いっかんして〝感染した人・外出して感染を広めた人〟。マスコミと政治によって国民が犠牲になる図式だ。

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松野 大介

まつの だいすけ

1964年神奈川県出身。85年に『ライオンのいただきます』でタレントデビュー。その後『夕やけニャンニャン』『ABブラザーズのオールナイトニッポン』等出演多数。95年に文學界新人賞候補になり、同年小説デビュー。著書に『芸人失格』(幻冬舎)『バスルーム』(KKベストセラーズ)『三谷幸喜 創作を語る』(共著/講談社)等多数。沖縄在住。作家、ラジオパーソナリティー、文章講座講師を務める。

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