《自分自身》と繋がるワーク【久瑠あさ美メンタルトレーニング】第7回#1講評
自分自身の【過去】に向き合う葛藤
コロナ禍が続く今、生活スタイルや、働き方、生き方までも変わろうとしています。何が起こっても不思議ではない予測不可能な時代(不確実性の時代)をニューノーマル(新しい常態)と称して、いま私たちはこれまでにない不安やストレスに満ちた毎日を送っています。だからこそ、「自分と向き合い、自分の在り方やこれからの生き方を見直すきっかけ」ととらえ直せるかどうかが大切だと、メンタルトレーナーの久瑠あさ美先生は語ります。
ならばどうやって自分と向き合い、どうやって自信を取り戻すべきか?
どうしたら自分の中の潜在能力をもっと発揮することができるのか?
数多くの著名人たちから支持を受けているメンタルトレーナーの久瑠先生が、初めてYouTube動画と連動してお送りするメンタルトレーニングの実践現場。今回は公開メンタルトレーニングの実践現場を実況中継。久瑠式メンタルトレーニングのノウハウを余すことなく披露する!!(聞き手:弊社編集・鈴木康成、構成:甲斐荘秀生)
*まずは以下の映像をご覧ください。
■久瑠式メンタルトレーニングの実践現場の講評
今回はトレーニング#1(出題編は本連載第5回)に対して、本連載ディレクターの甲斐荘さんがワークに取り組んだ結果を講評していきます。
このワークでは、仕事の中で
「過去、役立ててきたこと」
「現在、役に立てていること」
「未来、役に立つだろうこと」
を100個ずつ、ワークシートに記入していきます。
久瑠:甲斐荘さんがワークが向き合ったなかでは、まず、「過去に役に立ててきたことを100個」のワークシートに最初の10個を書いたところで、すごく貴重な経験をされていますね。
甲斐荘:(そうでした、そうでした。始まったばかりなのに全然出てこないの)
久瑠:ワークを通じて、まず初めに「葛藤」を経験したことはとても大事です。人間はうまく行っているときはいいんですが、この「うまくいかない葛藤」を越えられない人が世の中には多いわけですね。
例えば、「想いがあって入社したのに、働き始めたら一週間で心が折れる」みたいなのはよくある話ですが、「思ってたことと違う」「本当の自分はもっとできるはずのに」と壁にぶつかることが、その人が試されるタイミングなんです。
甲斐荘:(ああー、よくあります)
久瑠:これまでの人生でマインドを鍛えることができてきた人は、そういう場面に出会った時に「スイッチ」を場面ごとに切りかえようとする習性があります。
「なんで、できないんだろう」となったところで停止せず、違う「やり方」や違う「観点」を模索しはじめるのです。
甲斐荘さんはワークを始めてすぐに、「過去に役に立ててきたことを100個書く」ことが想像していたよりはるかに大変であると実感しました。「10個しか書いてないのに全然大変だぞ。こんなはずじゃないんだけどな」と感じたわけですが、それでも最後までやりきった。後を見ていくとわかりますが、それまでの「頭で考える」やり方から脱却して、やり遂げたんですよね。
自分なりに【過去】を100個書いてる間に、「これまでの自分のスケールで考える」という無駄なことをやめて、「観点がどんどん変わってくる」という現象が起きる。無意識だからこそ、スラスラ出るようになるんですね。このワークではそれを体験してもらいたかったんです。
甲斐荘:(「観点が変わる」?たしかに、ところどころ止まりながらも、一気に書きあげるスイッチが入る体感はすごかったです)
久瑠:ところが「自分なりに模索してみよう」という方向に行くと、このワークはどんどん出なくなります。「書こう」と思うと出なくなるんですね。
そして甲斐荘さんの場合は「考えて書く」から観点が変わり、過去のビジュアルが出てくるようになりました。
甲斐荘:(そうそう、自分でもびっくりしました!そうかあれは無自覚に観点が変わった結果だったのか。)
久瑠:「事実をどう捉えていたか」「どういう感情を持っていたか」という経験は、ビジュアルとして現れます。ですから甲斐荘さんはワークを進めていくなかで、図らずも「自分の過去のストーリーの中に入り込む」ことをやり始めていたんです。そうすると無理にひねり出さずとも、自然に過去の記憶が蘇ってきます。
「過去の記憶」は何で作られているかというと、「自分の感じ方」なんです。とある事件があった、とある問題があったといった記憶の中で一番濃く残っている「自分のリアリティ」は、「自分が感じた世界」なんです。決して外で起こった事実だけで記憶が形作られているのではありません。
甲斐荘:(なるほど……たしかに、仕事で辛かったことを思い出して、書きながら追体験的に辛くなったりしました)
久瑠:過去の事実・経歴だけを並べられても、そこで感情の記憶に揺さぶりをかけることができなければ、それは結局自分のリアリティには到達できない。その程度の深さでワークをこなしても、自分の人生を受け止めることにはなりません。
ですからワークを通じて深く、深く、「自分の感じた世界」へと潜っていく。宝物を探すように「自分の過去」に入っていき、そこで出会ういい経験も悪い経験も、全部自分が作り出した世界なんですね。自分が過去やってきた「記憶」を拾い集め、「自分の世界」を掴み取るという作業なんです。
まとめ:「過去の記憶」とは、起こったことに対する「自分の感じ方」のこと。感情の記憶を揺さぶることで、「自分の世界」を掴み取ろう。 (次のページ冒頭で)ワークを通じて【自分自身】と出会う