「いかに自分が日本人として未熟か」イェールに息子を送り込んだ母の手痛い過去
受験もその先も。一生使える力になる、「究極の育て方」⑩
長男をアメリカの名門イェール大学に送り込んだ、小成富貴子さん。「わが子を真の国際人に育てる」という信念を持ち、常に世界を見据えた子育てを行ってきました。しかし小成さんは「グローバル」の前にまず日本について知ること、と語ります。そこには20歳の頃のある手痛い過去がありました。初の著書『究極の育て方』より紹介します。
いかに自分が日本人として未熟か
「グローバルに活躍できる子どもを育てる」と聞くと、とかく外国語ができればいいと思いがちです。でも海外に目を向ける前に、まず必要なのは、「日本を知る」ということです。
私がこのように考えているのは手痛い経験があるからです。
大学時代スペイン語学科で学んでいた私は、20歳の頃1年間スペインに留学しました。留学するときには、スペイン語を覚えることで精一杯。でも実際に行ってみて痛感したのは「いかに自分が日本人として未熟であるか」ということでした。
神社とお寺の違い、主要な県の人口、どんな産業が盛んなのか、歴史や伝統的な文化。
14年間の学校教育の中でそれなりに真面目に勉強してきたはずなのに、説明できないことがたくさんあったのです。当時は「グーグル先生」もいませんから、スペイン語の百科事典で日本のことを調べる、というような情けない状態でした。
日本に帰ったらもっと日本のことを勉強しよう、自分に子どもができたらきちんと日本のことを教えよう。そう心に誓ったことを今でも覚えています。
本当の国際人とは単に語学が堪能な人ではなく、自国のことを深く知り、それを外国語を利用して発信できる人です。
そのためには、親が意識して日本の歴史や文化を伝えていかなければなりません。
日本人としてのしっかりした基礎があって初めて、グローバルコミュニケーション力もついてくる。私はそのように考えています。
(『究極の育て方』より構成)
同書ではその具体例として、「きれいな日本語を使う」「47都道府県を目指して家族旅行」などのエピソードが紹介されています。