《失われつつある留萌本線ノスタルジーな旅》ハゲから増毛へ念願のコースがついに成就?【女子鉄ひとりたび】19番線
すべての鉄道を乗りつぶした唯一の女性芸能人が行く北海道の旅・続編
元祖鉄道アイドル、今は「鉄旅タレント」として鉄道をアツく語る、木村裕子が日本各地の魅力的な路線を紹介する“女子鉄ひとりたび”(『女子鉄ひとりたび』著・木村裕子より)。本線とは名ばかりのミニ路線「留萌本線」の留萌から先の残りの部分は「海線」と呼ばれる閑散とした区間で、だからこそ鉄道ファンを強く惹き付ける路線だった。滅びゆく運命の「哀しみ本線日本海」を満喫する真性・鉄子の前に、ふと現れた驚くべき人物。これは運命? 宿命? それとも単なる偶然なのか?
■これはもしや、運命的な出会いかしら?
留萌(るもい)駅。列車に戻ると、男性に声をかけられた。
「やぁ! また会ったね」
振り返り、顔を見て、車内いっぱいに聞こえるほどの驚きの声を上げてしまった。
60代と見受けられるこの男性は、前日に乗った日高(ひだか)本線で同じボックス席となり、談笑した一期一会の旅人同志さん。
この方は、愛媛県から礼文(れぶん)島へ3か月の移住生活中だった。定年退職を迎え、今まで仕事を頑張った自分へのご褒美(ほうび)とのこと。
せっかくなら北海道をもっと知りたいと、数日、島を離れて列車旅をしていた。
日高本線の終点の様似(さまに)駅から、襟裳(えりも)岬へ一緒にバスで向かい、男性はお土産屋で「えりも岬」と大きく書かれたTシャツを購入していた。
内心、「そのTシャツはいつ着るんですか?」と聞きたかったが、事情は人それぞれ。深入りはやめておこう。
「またいつか会えるといいですね。お元気で」と握手を交わし別れたのだ。
それなのに、24時間後に370キロ以上離れた場所でまた巡り会うとは!
以下、この男性を仮名で「礼文さん」と呼ばせていただこう。
こういう再会は、数日にわたって乗り鉄をしていると、たまにある。ほとんどの場合は言葉を交わさず、お互いアイコンタクトで「昨日も会いましたね」と意思疎通をする。必要以上に関わりを持たないのが、鉄道ファン界の暗黙のルールだ。
でも私は人とのふれあいが好き。礼文さんと、あえて同じボックス席に座った。
留萌を出ると日本海沿いの区間を走り、阿分(あふん)駅へ。この駅も元は仮乗降場(注)の質素な駅だ。到着前の自動アナウンスで、
「次は、アフン~、アフン~です」と、何ともセクシーな響きの案内が流れた。礼文さんも同じことを思ったのだろう。目が合って2人でクスクス笑った。
終着の増毛駅。〝ぞうもう〟と書いて、〝ましけ〟と読むなんて。ハイセンスの極みだ。
以前、高知県の半家(はげ)駅へ行ったときは、ハゲのカツラを持参した。今回は、髪を両手で持ち上げて「ぞうもう」と言い、駅名標のとなりでポーズを撮る。
シャッターを切って下さった礼文さんは、髪がフサフサだ。何の気兼ねもなく、
「ぞうもう! ぞうもう!」と連呼した。
(注)仮乗降場=JR発足以前に北海道に数多くあった「時刻表に載らないヤミの駅」。詳細は「地図にない駅」を参照のこと。
(20番線へ続く)
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■今年も鉄道物語in稲沢に出演させて頂きます
スギテツファミリーコンサート 鉄道物語in稲沢vol.3 日にち:2020年10月18日(日) 場所:名古屋文理大学文化フォーラム 料金:全席指定 2,000円(税込) 時間:15:00開演(45分前に開場)
私は大ホールのコンサート合間のトークコーナーに出演します!
今年は小ホールでのステージ開催はありませんが、状況によっては大ホールコンサートの開始前に小ホールで物販を行います。
その場合、決まり次第またお知らせします。
■な、なんとこの夏も、水間鉄道に「女子鉄ひとりたび」ヘッドマーク電車が走った!
掲出日程:2020年8月11日~8月20日(10日間)
掲出車両:1003(青ライン/貝塚駅側)
走行日:8月11、12、13、16、17日
■「女子鉄ひとりたび」サイン本は完売! ブロマイド付は発売中!
イベント当日に来られなかった人のために、木村裕子さんが心を込めて、一冊一冊にサインを入れた本。
2019年の年末に限定部数で販売されていましたが、速攻で完売御礼!
なお3種類の「オリジナル・ブロマイドつき」の本は今も販売中ですので、お早く以下の書店へどうぞ。
販売場所:
書泉グランデ 6F鉄道コーナー
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1丁目3-2
書泉ブックタワー 5F鉄道コーナー
〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町1丁目11-1