まるで小説のように胸を打たれる……書店員が本気ですすめる「泣ける新書」 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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まるで小説のように胸を打たれる……書店員が本気ですすめる「泣ける新書」

書店員がすすめる、思わず感動する新書!④

◆刑務所で育まれた人と犬の絆 最後の別れがグッと泣かせる!

〈刑務所〉で盲導犬を育てる』大塚敦子・著(岩波ジュニア新書)

大塚敦子・著『〈刑務所〉で盲導犬を育てる』(岩波ジュニア新書)

 刑務所で行われている盲導犬候補の子犬を育てるという更生プログラム。犬との出会いを通じて、受刑者たちは着実に変化していく。動物との交流のなかで人が更生していく過程を、7年以上にわたり取材し続けた著者が描く。

☆推薦人:ジュンク堂書店池袋本店 福岡さん
「この本は、刑務所で行われた盲導犬候補の子犬を育てるという更生プログラムを7年間取材してまとめたものです。行間があって、コラム的にも、ひとつの物語としてもすごく読みやすい。それに犬の写真がたくさん掲載されていて、とにかくかわいいんです! 刑務所という特殊な環境のなかで、時間が経つにつれて人間と動物の意思疎通、絆が生まれてくる。そのなかで、『人ってこれだけ変われるんだ』という更生の過程が丁寧に描かれています。盲導犬という役割を持っている犬なので、どうしても最後は別れがある。そこがグッと泣かせるんです。何にでも期限があるからこそ、日々を大事にしなきゃいけない。日常で忘れかけていることを真摯に受け止める気分になります」

 

◆もしかしたら発達障害かも? 膨大な情報量で家庭の悩みを解決

岡田尊司・著『子供のための発達トレーニング』(PHP新書)

子どものための発達トレーニング』岡田尊司・著(PHP新書)

 「不注意で見落としが多い」「忘れやすい」「人前で話せない」「感情や行動が制御できない」など、近年注目されている子どもの発達の課題。人にはなかなか相談しにくいこの問題に対して、有効なトレーニングを紹介する実践書。

☆推薦人:ジュンク堂池袋本店 福岡さん​
「たとえば、質問されても答えられない、運動ができない、もしかしたら発達障害かも……。そんな、どうしてうちの子はこれができないんだという家庭の問題について、どう治していけるのかがわかりやすく書かれています。本書の特徴は、専門書として出してもいいんじゃないかと思うほどの膨大な情報量! 注力トレーニングやワーキングメモリの課題など、該当するところを中心にやってみるといいと思います。今流行のマインドフルネスや、社会的なスキル、トラブルや意見のまとめ方なんかも解説されています。お子様向けではあるんですけど、大人の方で悩んでる方にも、新書でこういうタイトルだと買いやすいかなと。悩みを解決するための入門編として、オススメしたい一冊です」
 

 数ある本のなかでも、やはり困難に立ち向かう姿を描いた新書は、とりわけ胸を打ち、心を揺さぶられる。今日はグッとくる本が読みたい、そんな気分のときにぜひ手にとっていただきたい4冊だ。

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