「鬱とそうでない状態。明確なラインは存在しない」鬱のトンネルを抜けた漫画家が語る。 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「鬱とそうでない状態。明確なラインは存在しない」鬱のトンネルを抜けた漫画家が語る。

Q4.現在、鬱ではない人に知っておいてもらいたいことはありますか?

自分が鬱を引き起こす原因や法則みたいなものを把握すること

――「鬱とは一生付き合うしかない」という話を耳にしますが、“上手な付き合い方”みたいなものはあるのでしょうか?

「鬱は再発を繰り返す」といわれていますが、抜けた立場からすると違和感を覚えます。はるか昔、自分が中高生だったころ、雨が2、3日続くと気持ちが沈んでいたし、秋になったらわけもなく寂しくて人恋しくなったりしていたよね、と。もともと人間は外気温や湿度によって気持ちが大きく変わるんです。

写真を拡大 田中さんの場合は、気温差が鬱を引き起こす一因だった。『うつヌケ』21ページより

 子どもの頃は実生活に影響はなかったけれど、それが大きくなると、それがそのまま鬱へとつながっていきます。だから鬱を抜けた後も波はあって当たり前なのです。僕の場合は気温差が大きいと鬱を呼びやすいということが分かっているので、これは「体温調整機能が落ちただけだ」と考えることで、鬱じゃないぞと自分に言い聞かせていますし、気温差が激しい時は家に閉じこもっておくようにしています。僕は温度差が原因だけれども、もちろん個人差があります。気温や気圧以外にも、小さい時に厳しく育てられたトラウマ等もあるでしょう。とにかく自分が鬱を引き起こす原因や法則みたいなものを見つけて把握しておくと、対処もしやすくなります。

【第三回はこちら:鬱は“病気”なんです――。自身も経験、『うつヌケ』の作者が伝えたいメッセージ

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田中 圭一

たなか けいいち

1962年5月4日大阪府枚方市生まれ。近畿大学法学部卒業。大学在学中の1983年小池一男劇画村塾(神戸校)に第一期生として入学。翌1984年、『ミスターカワード』(『コミック劇画村塾』掲載)で漫画家デビュー。1986年開始の『ドクター秩父山』(『コミック劇画村塾』連載)がアニメ化されるなどの人気を得る。大学卒業後はおもちゃ会社に就職。パロディを主に題材とした同人誌も創作。2017年1月に刊行した『うつヌケ うつトンネルを抜けたひとたち』(KADOKAWA)がベストセラーに。他にも『イかれポンチ』(ベストセラーズ)など。


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