清宮ロス?いやいや逸材揃いの今大会。プロが注目する選手と大阪桐蔭に残された歴史的偉業の可能性
夏の甲子園、展望と見どころとは
夏の甲子園がいよいよ開幕する。台風の影響で開会式と初戦は8日へ延長となったが、熱気はじゅうぶんだ。清宮幸太郎ばかりに注目が集まったが、今夏も将来の日本野球界を背負って立つ逸材が揃う。『スコアブックは知っている』などの著書があり、43季連続で甲子園を取材する楊順行氏による寄稿。
揃った左投手の逸材
清宮ロス? いえいえ、そんなことはありません。確かに、高校最多タイといわれる通算107ホーマーを記録し、もはや社会現象にまでなった早稲田実・清宮幸太郎はいない。それでも甲子園には、魅力あふれる球児たちがずらりだ。
まず投手は、とくに左に逸材がそろう。秀岳館は田浦文丸、川端健斗(※)の二枚看板がいずれも最速148キロ。ことに川端は、熊本大会28回3分の2で37三振がすごい。木更津総合の山下輝は昨秋から本格的に投手に挑戦し、球速は10キロ以上アップの149キロに達した。
広陵の平元銀次郎(※)も、最速146キロの直球とタテに変化するカーブが持ち味だ。 右腕では、神戸国際大付の岡野佑大がすとんと落ちるスライダーを武器に、5試合37回をわずか失点1と安定感がある。強豪校は複数の投手で地方大会を乗り切るのが当たり前のいま、福岡大会7試合を一人で投げ抜いたのが東筑の2年生・石田旭昇だ。東筑は過去5回の出場のうち、3回のエースが石田姓という「石田伝説」を受け継ぐ。
打者の注目はやっぱり増田珠
打者では、横浜の四番・増田珠(※)が神奈川大会新記録の4試合連続を含む計5ホーマー。打ってニコニコ、捕ってニコニコの豊かな表情がなかなかいい。中京大中京の四番・鵜飼航丞(※)も高校通算59ホーマーの長距離砲で、外角でもスタンドまで運ぶ力がある。盛岡大付の植田拓は、センバツでの一発を含み高校通算60HRと小柄ながらパンチ力あり。
強打が看板の智弁和歌山では、四番の蔵野真隆が和歌山大会の打率.625と調子がいい。蔵野と同じ捕手では、広陵の中村奨成(※)が、打率は低調も広島大会の準決勝、決勝で連続ホームランを放っている。
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