不動産の世界はしばしば海に例えられる。不動産に魅入られて挑戦した者の多くが海の底へと沈んでいった。それでも海に挑む者は後を絶たない。そこには見たこともない財宝が眠っているからだ…。
　本記事は、不動産業界という大海を渡り、財宝を発見するための航海術を記した辞典であり、大手デベロッパー、大家、地主、ブローカー、地場管理会社の5人がそれぞれの立場で、奥深き賃貸の世界を語りつくしたものである【以下「全宅ツイ」メンバー参照】。

■あなたに貸したのは部屋ではなく鍵である

【施設付鍵利用契約】
ゼロゼロ物件で有名な某社がやってた手法。家を貸すのではなく、あくまで鍵を貸すということで利用者が家賃滞納した際に、家賃を払わない賃借人の占有権の主張を防ぐ手法。そもそも家賃払わんやつが悪いやろ。

どエンド君（以下・ど）：B社が編み出したウルテク。

DJあかい（以下・Ｄ）：僕大学卒業した後無職だったんで危うく紫の看板に吸い込まれるとこでした。

デベ夫人（以下・デ）：看板紫なんだ…ひどい（笑）

まゆずみ君（以下・ま）：こういうわかりやすい文化を感じさせない広告って、余裕のない人に刺さりやすいですよね。良く出来ている。

Ｄ：確かに初めて家探しすると礼金だの敷金だの仲介手数料だのいっぱいかかって何なの？って思うからそう言う人の心の隙間をうまく突いてる。

ど：せっかくのアイデアでしたが借地借家法が強いからダメですね。これが事業用物件だと販売業務委託とかスペース貸しとか、借地借家法から逃げて、場所を貸す方法もあるんだけど…。

Ｄ：住宅はどういう立て付けしても怒られ発生しますよね。

デ：住宅ではダメという判例が出た。

ど：昔は普通に鍵をロックするいろんなアイテムが管理会社にあったんですよ。

ま：アロンアルファ不要でロックできるやつ…。

ど：うちのおじいちゃん管理会社の契約書には、いまだにその頃の名残で滞納時は鍵ロックされても異論はない、みたいな一文が入ってます。

Ｄ：つ、強い…（笑）

デ：いまは電子鍵ならスマホで操作出来ちゃう。うちもスマホ鍵付けたけどめっちゃいいよ。

ど：入居者の入れ替えのたびにシリンダー捨てる無駄も、マンションの外に並ぶキーボックスもなくなる。どんどん普及して欲しい。

Ｄ：でも、鍵交換費が取れなくなるから痛し痒し。

ど：スマートロックで家賃引落できなかった瞬間に鍵が開かなくなるくらいまで連動して欲しい。

Ｄ：笑う。

ま：不動産テックだ。

ど：ここでB社の決算書をみてみましょう。（ガサゴソ）

ま：すごい。

ど：ゼロゼロが心に刺さる入居者を狭小アパートに押し込んで従業員12名で数億円。

Ｄ：めちゃ夢ある。

ど：みならいたい。

Ｄ：需要は絶えないから。ボンビーガールは絶えない。

ど：先輩大家さんが「この世から貧乏人は減ることがないから、やるなら貧乏人向けの賃貸がいいぞ」と言ってた。

Ｄ：百理ある。

ま：V社「それな」。