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国宝と重要文化財の違い、説明できますか?

鑑賞前に押さえておきたい国宝の基礎知識

 国境や時間を超えて守り継がれてきた日本の財産が国宝。今秋には京都国立博物館にて、開館120周年を記念した「国宝」展が開催される。日本に「国宝」という言葉が生まれたのも、ちょうど120年前のこと。この機会に、国宝の数々の魅力を堪能するのもいいだろう。
 そこで、鑑賞前に押さえておきたい国宝の基礎知識をご紹介する。

 

Q1,そもそも国宝とは?

 歴史的価値や美術・学術的に優れた最高ランクの文化財。現行のものは1950年制定の文化財保護法に基づく。
 

Q2,現在、日本に国宝はどのぐらいあるのか?

 2017年8月現在、美術工芸品885件、建造物223件で、合計1108件。重要文化財はその10倍以上におよぶ。
 

Q3,国宝は誰が何を基準に決めているの?

 文化庁の調査官が重要文化財の中から候補を選定し、専門家が集う文化審議会で吟味。その後、文部科学大臣が承認。
 文化財保護法の施行以前は、国宝と重要文化財の区別はなかったが、現在は同法の下、特に優れているものを国宝に認定している。
 

Q4,国宝とそれ以外のものとの違いは?

 焼失・倒壊などで一度失われたものは忠実に再生されても不可。京都の金閣寺も焼失時に国宝指定が取り消された。
 

Q5,国宝は個人でも所有できるのか?

 国宝・犬山城天守は2004年の財団移管まで個人が所有。規定上可能だが維持・管理を考えると個人では難しい。

『一個人』2017年9月号より構成〉

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狩野 博幸

かの ひろゆき

1947年生まれ。京都国立博物館研究員、同志社大学教授などを歴任。専門は近世絵画で、文化財選定などを行う文化審議会の調査委員も長年務める。監修『知っておきたい国宝130選』、著書『目をみはる伊藤若冲の「動植綵絵」』ほ か多数。

 


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