【福井「地名」ケンミン性】柴田勝家が開いた北ノ庄「福居」から元禄時代に「福井」へ《47都道府県「地名の謎」》 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

【福井「地名」ケンミン性】柴田勝家が開いた北ノ庄「福居」から元禄時代に「福井」へ《47都道府県「地名の謎」》

【全国地名由来辞典】県や町の名前から郷土のドラマをひもとこう!_福井県


 日本の地名は世界でも稀に見るほどバリエーションが豊富。
 地名の由来を探ると、多様な地形、自然を愛でる表現性、ふるさとを思う民俗性など、この国の原点が見えてくる。
 読者のみなさんの故郷はどちらですか? 地名は・・・
 日本人ならなぜか初対面でも話が弾む出身地・県民性・そして地名雑学‼️
 ようこそ! 地名の奥深い世界へ‼️


■信長の家臣・柴田勝家が開拓

敦賀湾の夕景

《福井県の由来》
信長の家臣・柴田勝家が開拓

 福井の町を開いたのは織田信長の家臣・柴田勝家で、この地に北ノ庄城を築城した。関ケ原の戦いののち、徳川家康の次男・結城秀康が入封すると、2代・忠直を経て、3代藩主となったのが忠直の弟・忠昌。このとき「北ノ庄」という名称は、「北」という字が「敗北」につながるという理由から改称され験かつぎから「福居」となる。
 「福居」が「福井」に変わったのは元禄年間(1688~1704)のことで、現在の地名の由来となっている。


《地名の由来》

◉鯖江(さばえ):鯖の尾に似た伝説の矢

 武生盆地の北部に位置する商工業都市、鯖江。
 崇神天皇の御世に、大彦命(おおひこのみこと)が賊を平定するにあたり、空から鯖の尾に似た矢が落ちてきて敵を倒したことから、この地を「鯖矢」と呼んだという伝説が残る。
 盆地という地形から、「沢の江」に由来する地名とも考えられる。

◉敦賀(つるが):額に角がある人が来訪

 『古事記』「角鹿(つぬが)」として登場しており、額に角がある人物がこの地に停泊した、あるいは朝鮮半島から「 都怒我阿羅斯等(つぬがあらしと)」が渡来したとも伝わる。和銅6(713)年、「敦賀」に改められた。

◉東尋坊(とうじんぼう):激しい風が西から東へ

 その昔、「当仁坊(とうじんぼう)」という僧が、安島浦(現在の東尋坊)の崖から突き落とされた。これが4月5日のことで、毎年この日は西から東へ激しい風が吹くようになったことから「東尋坊」になったと伝わる。

◉嫁威(よめおどし):肉付きの面の伝説

 蓮如上人の高徳を慕い吉崎道場に通う嫁を快く思わなかった姑が、盗んだ鬼の面をかぶって「嫁」を「威(おど)した」ところ、面が顔にくっついてはがれなくなった、いわゆる「肉付きの面」の伝説が地名の由来である。

断崖絶壁が続く東尋坊。地質学的に珍しい奇岩は国の天然記念物に指定。提供/福井県観光連盟

(2020年一個人5月号から

KEYWORDS:

オススメ記事

谷川 彰英

たにかわ あきひで

筑波大名誉教授

1945年長野県生まれ。ノンフィクション作家。東京教育大学(現・筑波大学)、同大学院博士課程修了。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。筑波大学教授、理事・副学長を歴任するも、退職と同時にノンフィクション作家に転身し、第二の人生を歩む。筑波大学名誉教授。日本地名研究所元所長。主な作品に、『京都 地名の由来を歩く』シリーズ(ベスト新書)(他に、江戸・東京、奈良、名古屋、信州編)、 『大阪「駅名」の謎』シリーズ(祥伝社黄金文庫)(他に、京都奈良、東京編)『戦国武将はなぜ その「地名」をつけたのか?』 (朝日新書)などがある。

 

 

 

 

 

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

一個人(いっこじん) 2020年 05 月号
一個人(いっこじん) 2020年 05 月号
  • 2020.04.09