【甲子園を振り返る】「福島では勝つけど甲子園では勝てない」聖光学院は弱いのか?
11年連続甲子園出場にある葛藤
「福島では勝つけど、甲子園では勝てない」
ストレス。
聖光学院が広陵に敗れた瞬間、真っ先にそのフレーズが頭に浮かんだ。
優位に試合を進めていた展開で、6回にマークしていたプロ注目の中村奨成に同点打を許し、9回には決勝本塁打を浴びての敗北。チームは初のベスト4進出を目指しながら、3回戦で甲子園を去った。その無念は推して量るべし、である。
斎藤智也監督は、ここ数年、このような趣旨の言葉を何度も口にしている。
「強豪を『倒す』と思っているようじゃダメ。どんな展開でも簡単に屈することなく、真っ向勝負で勝っていかないと、本当の強いチームと認めてもらえない」
優勝候補の広陵相手に、屈することなく戦った。しかし、真っ向勝負で負けた。その現実へのストレスは少なからずあるはずだ。
「福島では勝つけど、甲子園では勝てない」
近年、聖光学院に対して、こんな厳しい声が目立つようになった。
夏の甲子園に11年連続で出場と、福島県では無類の強さを発揮する。その間、ベスト8は4度。春夏通算でも22勝18敗と勝ち越しており、勝っていないわけではない。ただ、日本一という金看板がない限り、「名門」と認められないのが高校野球なのだろう。
だが、そんなことは、周り以上に斎藤監督はじめチーム全員が心に刻んでいる。勝っているのに、勝てない。そのパラドックスとの戦いは、今に始まったことではないのだ。
最初に斎藤監督が「ストレス」とはっきり言ったのは、2013年の秋だった。
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