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「彼氏はいらないけど子供は欲しい」女性、その理由

産まないことは「逃げ」ですか③

「彼氏はいらないけど子供が欲しい」

 子供が欲しいというのは、実は一種の「心の病」ではないかと思ったりもする。現状の不安や鬱屈から逃げたい一心で、子供が欲しいと思ったりするのではないか。子供のイメージって、けがれのない純粋無垢なもの、心が洗われるもの、産み育てることが生き物としての成熟の証、みたいなところがある。そこにすがりたくなってしまうのではないか。

 30歳になったばかりの知人女性が「彼氏はいらないけど子供が欲しい」と言っていたので、理由を聞いてみたところ、思いがけない言葉が返ってきた。「もう自分にかまうのに飽きたんです。子供ができれば気が紛れるというか、自分どころではなくなると思って」

 子育て真っ最中の女性からすれば「ふざけんな!」と思うかもしれない。でも、彼女の気持ちもちょっとわかる。欲望や願望がたくさんありすぎる自分をもて余しているので、強制的に何かに縛られたいのだろう。有り余る自己愛を誰かに注ぎたいのだろう。男に向けたいけれど、そう思える相手がいない。それで自分の子供が欲しい、というわけだ。

 自分勝手な考えだと非難されても仕方がない。でも自分の人生がうまいこと回らず、思い通りにならない時、人は現実逃避をしたがるもの。私も自分の実力で男をつなぎとめることができずに、妊娠を目論んだのである。

『産まないことは「逃げ」ですか?』(著・吉田潮)より構成〉

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吉田 潮

よしだ うしお

コラムニスト

1972年生まれ。おひつじ座のB型。千葉県船橋市出身。ライター兼絵描き。



法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。『週刊フジテレビ批評』、『Live News it!』(ともにフジテレビ)のコメンテーターなどもたまに務める。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より『東京新聞』放送芸能欄のコラム「風向計」を連載中。著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『TV大人の視聴』(講談社)、『産まないことは「逃げ」ですか?』(KKベストセラーズ)、『くさらない イケメン図鑑』(河出書房新社)ほか多数。本書でも登場する姉は、イラストレーターの地獄カレー。



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  • 吉田 潮
  • 2017.08.26