「彼氏はいらないけど子供は欲しい」女性、その理由
産まないことは「逃げ」ですか③
「彼氏はいらないけど子供が欲しい」
子供が欲しいというのは、実は一種の「心の病」ではないかと思ったりもする。現状の不安や鬱屈から逃げたい一心で、子供が欲しいと思ったりするのではないか。子供のイメージって、けがれのない純粋無垢なもの、心が洗われるもの、産み育てることが生き物としての成熟の証、みたいなところがある。そこにすがりたくなってしまうのではないか。
30歳になったばかりの知人女性が「彼氏はいらないけど子供が欲しい」と言っていたので、理由を聞いてみたところ、思いがけない言葉が返ってきた。「もう自分にかまうのに飽きたんです。子供ができれば気が紛れるというか、自分どころではなくなると思って」
子育て真っ最中の女性からすれば「ふざけんな!」と思うかもしれない。でも、彼女の気持ちもちょっとわかる。欲望や願望がたくさんありすぎる自分をもて余しているので、強制的に何かに縛られたいのだろう。有り余る自己愛を誰かに注ぎたいのだろう。男に向けたいけれど、そう思える相手がいない。それで自分の子供が欲しい、というわけだ。
自分勝手な考えだと非難されても仕方がない。でも自分の人生がうまいこと回らず、思い通りにならない時、人は現実逃避をしたがるもの。私も自分の実力で男をつなぎとめることができずに、妊娠を目論んだのである。
〈『産まないことは「逃げ」ですか?』(著・吉田潮)より構成〉
- 1
- 2