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【広島県:神話と戦国と地形】毛利輝元と神功皇后、築城した地形が広い島だった!《47都道府県「地名の謎」》

【全国地名由来辞典】県や町の名前から郷土のドラマをひもとこう!_広島県


 日本の地名は世界でも稀に見るほどバリエーションが豊富。
 地名の由来を探ると、多様な地形、自然を愛でる表現性、ふるさとを思う民俗性など、この国の原点が見えてくる。
 読者のみなさんの故郷はどちらですか? 地名は・・・
 日本人ならなぜか初対面でも話が弾む出身地・県民性・そして地名雑学‼️
 ようこそ! 地名の奥深い世界へ‼️
 本日はみなさんとともに広島県「地名」の謎に迫ります。


■毛利氏との関わりが深い

三次の方言で「いらっしゃい」を意味する「三次きんさい祭り」は7月末開催。

《広島県の由来》

築城した地形が広い島だった

 この地を「広島」と名づけたのは毛利輝元で、広島城築城の鍬入れのときに命名したとされる。
 地名の由来で最も有力なのは、地形にちなんだ説

 広島市は太田川河口域の三角州にあるため、築城の場所がデルタの中の「広い島」だったことが由来という説だ。

 もうひとつの有力説は、毛利家の祖先である大江広元から「広」の字、この地の豪族で築城に大きくかかわった福島元長の「島」の字を組み合わせた、人名に由来するとの説である。


《地名の由来》

◉厳島(いつくしま)神の棲む神聖な島

 島そのものが神の棲む神聖な場所であることから、「心身の汚れを去り神に仕える」という意味の「斎(いつ)く」という言葉に由来。

 また、厳島神社の縁起によれば、ご祭神の「市杵島姫(いちきしまひめ)」の名に由来する。

 

◉己斐(こい)「鯉」を二字で表記

 神功皇后がこの地に滞在したとき、大きな鯉を献上したところ大いに喜ばれ「鯉村(こいむら)」と名づけた。

 その後、奈良時代の好字二字令により「鯉」「己斐」に変えたことから、この地名が生まれた。

 

◉鞆の浦(とものうら)神功皇后が鞆を奉納

 弓を射るとき左手につける革製の武具の「鞆」を、神功皇后が当地の沼名前(ぬまくま)神社に奉納したことに由来。

 また、湾の形が「鞆」に似ているためとする地形由来説
 あるいは、船の船尾を表す「艫(とも)」が転訛したとも考えられる。

 

◉三次(みよし)3つの「次」があった

 「水(み)」古代朝鮮語で「村」を意味する「スキ」が合わさって「みすき」となり、のちに「みよし」に転じた。

 「三次」とは「上次(かみすき)・幡次(はたすき)・下次(しもすき)」の3つの「次」があったことによるという。

 「三好」「三善」とも表記されたが、寛文4年(1664年)に三好藩初代藩主の浅野長治が「三次」に統一

瀬戸内海の交通の要地、鞆の浦。ともに提供/広島観光連盟

(2020年一個人5月号から

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谷川 彰英

たにかわ あきひで

筑波大名誉教授

1945年長野県生まれ。ノンフィクション作家。東京教育大学(現・筑波大学)、同大学院博士課程修了。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。筑波大学教授、理事・副学長を歴任するも、退職と同時にノンフィクション作家に転身し、第二の人生を歩む。筑波大学名誉教授。日本地名研究所元所長。主な作品に、『京都 地名の由来を歩く』シリーズ(ベスト新書)(他に、江戸・東京、奈良、名古屋、信州編)、 『大阪「駅名」の謎』シリーズ(祥伝社黄金文庫)(他に、京都奈良、東京編)『戦国武将はなぜ その「地名」をつけたのか?』 (朝日新書)などがある。

 

 

 

 

 

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