【大分「地名」ケンミン性】なぜ「おおいた」と読むのか? 歴史に根ざした確かな由来の地名が特徴《47都道府県「地名の謎」》 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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【大分「地名」ケンミン性】なぜ「おおいた」と読むのか? 歴史に根ざした確かな由来の地名が特徴《47都道府県「地名の謎」》

【全国地名由来辞典】県や町の名前から郷土のドラマをひもとこう!_大分県

■なぜ「おおいた」と読むのか?

新緑から紅葉期まで、一年中鮮やかな景観を楽しめる耶馬渓。奇岩が連なる様相も圧巻。

《大分県の由来》

◉多き田が変じて地名になった

『豊後国風土記』によると、景行天皇がこの地を訪れたとき、土地が広く大きく美しかったことから「大きい」という意味をもつ「碩」が当てられ「碩田(おおきた)」と名づけたことが由来とされる。
 実際の大分平野は広大とはいいがたく、むしろ地形は狭く複雑であることから「多き田」「大分」に変じたという見解が最近の定説となっている。
 また、「分」は古来「キダ」とも読まれたことから、「大きくきざみ分けられた」という意味で「オオキダ」になったともいわれる。


《地名の由来》

◉安心院(あじむ):芦生が安心に転じた

 が生えていたことから「芦生(あしぶ)の里」と呼ばれていたものが、のちに「安心」に転訛。さらに中世になって荘園の倉(倉院)が置かれたことから「院」がついて「安心院」という地名になったという説が一般的だ。

◉臼杵(うすき):臼と杵に似た石人形

当地にある臼塚(うすづか)古墳から出土した2基の石甲(石で作られた武人の像)の姿が、「臼」「杵(きね)」の形に似ており、地元では昔から「うすきね様」と呼ばれ、親しまれてきたことが地名の由来とされている。

◉姫島(ひめじま):白い石から生まれた姫

垂仁天皇の御世、 意富加羅国(おほからのくに:今の韓国南部)の王子が、白い石から生まれた姫結婚しようとしたが、姫はそれを逃れて日本に渡り、当地の比売語曾社(ひめこそしゃ)の神になった、という伝承から名づけられた地名。

◉耶馬渓(やばけい):ふたつとない山の渓谷

 文政元(1818)年頼山陽(らいさんよう)が当地を訪れた際、その景観に感動。この渓谷は天下にふたつとないとして、当時の「山国谷」という地名に中国風の文字をあて「耶馬渓天下無」漢詩に詠んだのが、地名の起こりとされる。

(2020年一個人5月号から

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谷川 彰英

たにかわ あきひで

筑波大名誉教授

1945年長野県生まれ。ノンフィクション作家。東京教育大学(現・筑波大学)、同大学院博士課程修了。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。筑波大学教授、理事・副学長を歴任するも、退職と同時にノンフィクション作家に転身し、第二の人生を歩む。筑波大学名誉教授。日本地名研究所元所長。主な作品に、『京都 地名の由来を歩く』シリーズ(ベスト新書)(他に、江戸・東京、奈良、名古屋、信州編)、 『大阪「駅名」の謎』シリーズ(祥伝社黄金文庫)(他に、京都奈良、東京編)『戦国武将はなぜ その「地名」をつけたのか?』 (朝日新書)などがある。

 

 

 

 

 

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