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センター廃止にはじまる教育改革。教師たちは「ゆとり教育」失敗の教訓をいかせるか

【2020年の教育問題】を石川一郎氏が徹底解説2/3

「今さら聞けない」ニュースのキーワードについて、「分からないことはなんでも聞いちゃう」いまドキの社会人、トオルくんとシズカちゃんが第一人者の先生たちに話を聞いていきます。
第一回のまとめ~2020年を境に、センター試験が名称を変える。これまでのマークシート式に加え、一部記述式の問題も導入される。今回の教育改革の背景にあるのは、政府・財界の要望。試験のフォーマットを変えることで、教育界全体に「自分の頭で考える人材を育てよ」というメッセージを発信しようとしている。

なぜゆとり教育は失敗したのか?

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シズカ…石川先生は教育のプロフェッショナルなわけですが、今回の教育改革には賛成ですか?

石川(石川一郎「香里ヌヴェール学院」学院長、『2020年からの教師問題』著者)…はい、賛成ですね。理由は“現実的だから”です。お二人は「ゆとり教育」をご存知ですよね?

トオル…知ってるもなにも、思いっきりゆとり世代です(笑)! 「これだからゆとり世代は……」って言われた経験数知れず。。

シズカ…私はそんな経験ない、ということにしておいてください(笑)。

石川…実は今回の改革は、ゆとり教育で仕掛けようとしたこととかなり類似しているのです。今から20年くらい前ですね、「詰め込みや序列でやるのは限界だろうと」という論調が生まれました。そして、教え込む量を減らし、教わった内容を活用しようとした。

シズカ…そういえば、「総合学習」の授業ができたよね。

トオル…あった! あった! なんか地域の文化について調べた記憶があるな~。

石川…そんなゆとり教育ですが、反発が強く、現場は混乱し、実際のところは狙い通りにできなかったのです。

トオル…あれだけ大々的にやっていたし、気合いが入ってそうだったけど何で失敗しちゃったのかな。

石川…理由は大きくわけて2つ。まずは、現場の教師からすると教え方がわからなかった。文部科学省によれば総合的な学習の狙いは「変化の激しい社会に対応して、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てる」となっていますが、具体的なカリキュラムがあるわけでもなく、現場の創意工夫に任されていました。

シズカ…たしかに、いきなり「現場でがんばって!」と言われても困るわね。教師たちも今までやったことないことなんだし。

石川加えて、数学や英語などの教科の時間が減った一方で、“出口”である大学入試の内容がほとんど変わらなかった。

トオル…総合学習で習った内容は大学入試には出なかったよね。

シズカ…結局、良い就職先に行くには大学の学歴は必要になるし、しょうがないっちゃしょうがないわよね。

石川…特に私立校を中心に、進学実績を前面に出す学校も見受けられました。結局、ゆとり教育に反することをすれば進学実績が上がると思った学校も多く、骨抜きになってしまったのです。

 
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