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「貧困女性のセーフティネット」なのか、それとも「性的搾取の温床」なのか。セックスワークを考える

「セックスワーク・サミット2017夏」レポート

「現場でもプライベートでも生きるコミュニケーション術」

 第2部は、「現代風俗ゼミナール2017 ~風俗ワーカーのこころとからだの安全を考える~」というテーマで、風俗で働く上で必要な心構え、性感染症の予防・対処法、お金の管理やメンタルヘルス、コミュニケーションスキルを伝えるゼミナールを開催した。

 前半は「働く女性のこころとからだの安全を考える」。現役の風俗嬢として現場で活躍する一方、業界内外に向けて情報発信を行っている今賀はるさんをお招きして、分かりやすく解説して頂いた。

 

 後半は「現場でもプライベートでも生きるコミュニケーション術」。NPO法人アサーティブジャパン代表理事の森田汐生さんより、実際の性労働の現場を想定した事例を用いたワークショップ形式で、自分も相手も尊重した自己主張・自己表現の方法である「アサーティブ」の基本を具体的に教えて頂いた。

 風俗の世界は、表社会から見えにくい世界であるがゆえに、センセーショナルな二次情報によって語られ、そこから生み出される感情論や二元論によって一方的に裁かれてしまいがちだ。しかし、実際の風俗の現場は感情論で裁けるほど単純ではないし、必ずしも「被害者/加害者」の二元論で割り切れるものでもない。

 今回のサミットで取り上げたセカンドキャリア支援やアサーティブの講座は、いずれも一次情報=現場で働く人たちの生の声、切実なニーズから導き出された処方箋だ。第三者が二次情報に基づいて一方的に「風俗の世界にはこれが必要」と判断したものではない。

 大切なのは、現場の一次情報を集めた上で、それに基づいて、現場の人たちが安心・安全に働くことのできる仕組みを整えていくことである。「見えない」と言われている風俗の世界を「見る」ためのヒントが、そこにある。

 

「セックスワーク・サミット2017秋 社会的養護と性風俗 ~アフターケア・特別養子縁組・少年司法の現場から考える~」(主催:一般社団法人ホワイトハンズ)が、2017年9月17日(日)に、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催されます。

 

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坂爪 真吾

さかつめ しんご

1981年新潟市生まれ。一般社団法人ホワイトハンズ代表理事。東京大学文学部卒。



新しい「性の公共」をつくる、という理念の下、重度身体障害者に対する射精介助サービス、風俗店の待機部屋での無料生活・法律相談事業「風テラス」など、社会的な切り口で、現代の性問題の解決に取り組んでいる。2014年社会貢献者表彰、2015年新潟人間力大賞グランプリ受賞。著書に『セックスと障害者』(イースト新書)、『性風俗のいびつな現場』(ちくま新書)、『はじめての不倫学』(光文社新書)などがある。


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