数値が証明する、「10歳若返る」ウォーキング法
いつものウォーキングにひと足し!「インターバル速歩」
週に120分だけの運動で生活習慣病、認知症予防が!
「私たちは30歳を過ぎた頃から、老化現象によって年間に約1%ずつ筋力が減少していきます。実はこの筋肉の萎縮こそ、生活習慣病の根本原因なのです。筋萎縮を防ぐには、少しツラいと感じるような、筋肉を太くする運動をしなければダメなんです」。
こう話す信州大学大学院教授の能㔟博さんは「インターバル速歩」の提唱者。速歩と普通歩きを交互に行うこの健康法は、松本市に住む中高年者を対象とした20年に及ぶ実証実験によって、効果が裏づけられているという。
「長い間、持久力と筋力のトレーニングは分けて考えられていました。例えば持久力をつけるなら、最大酸素摂取量の70%の運動負荷を1日30分以上、週に3日以上行うことが国際基準です。そこで、心拍数130〜140の速歩を1日30分以上、速歩だけでは疲れるので普通歩きと交互にして週4日程度やれば、国際基準と同じになると考えたのです。このトレーニングを松本市の中高年の方々にやってもらったところ、持久力だけでなく筋力も同時にアップしたのです」。
さらに、1カ月目で姿勢が良くなり、2カ月目で疲れにくくなり、3カ月目に風邪をひきにくくなって、5カ月目には高血圧、高血糖、肥満の症状が約20%も改善。持久力・筋力は20%アップするなど、体が劇的に変わっていくのが「インターバル速歩」のメリットだ。
「20年実践していますが、生活習慣病の改善率と持久力・筋力の向上率は変わらず確かです。また、『インターバル速歩』を半年続けて筋力が20%アップしても、そこで頭打ちではありません。中高年の女性たちにトレーニングの後、30分以内に牛乳を飲んでもらいながら5カ月間トレーニングを続けてもらった結果、さらに筋力が6〜10%アップしました」。
さらには、認知症予防が期待できるという報告も出てきたという。軽度認知障害の人に約半年間、「インターバル速歩」を実施してもらった結果、認知機能が25%改善したというのだ。
「運動をして脳の血流を良くすることが、認知症予防につながるのではないかと考えられます。松本市の中高年の皆さんのように、仲間を作って楽しみながら続ければ、さらに効果は高いかもしれません。1週間に4日やるには努力が必要ですが、この努力は必ず報われます。体力に自信が持てると考え方も行動も劇的に変わり、新しい世界が見えてくる。リタイア後を幸せに生きるためにも、ぜひトライしてください」。
「インターバル速歩」のやり方~
〈『一個人』2017年10月号より〉