日本人らしいサッカーとは何か。W杯を制覇するにはどうするべきか?
尽きないテーマに岩政大樹が挑む
日本人がサッカーをすれば日本のサッカーになる
チームとしての戦いを「ハイライン」と決めて、それに沿って選手たちに接してしまうと、選手たちは状況における自分のより良い判断を探すのではなく、ラインを高くするための判断を探してしまいます。それでは本当にサッカーがうまくなっているのか、僕は疑問です。
だから、僕はラインをいつ上げるべきか。いつ下げるべきか、の判断を選手たちが磨き、その判断を揃えることで、結果的に、ハイラインのチームができるようにすべきだと思うのです。
そうすれば、その選手もチームも必ずうまく強くなっているはずです。時に外からの見方では同じハイラインに見えるチームでも、中身は全く違います。そこにはバランスがあり、多様性があり、そして相手が見えているからです。それは地道で、時に先の見えない作業ではありますが、その先に日本サッカーの未来がある気がしています。
そのための指導法はまだまだおぼろげで、輪郭も見えていません。色々な人に会い、色々なことから学び、選手の心理を理解し、当たり前を疑い、そして想像力を働かせて見つけていきたいと思います。
僕はそもそも、日本人がサッカーをすれば、日本人らしいサッカーに自然になるものだと思っています。確かに、体格を比べれば、スペインやメキシコを目指すべき、という理論も理解できますが、文化や内面が違えば根底にあるものが違うはずで、結局サッカーも違うものになると思います。参考にすること、模倣することが得意な人種なので、学ぶことはどんどんすべきですが、いずれそれも自然に、日本人のオリジナルのものになっていくはずです。
では、何をしていけば世界の頂点に近づけるでしょうか。
僕は日本人らしさを発揮することができる判断や立ち位置、体の動かし方、心の置き所。個人の内面に深く切り込んでいくことにヒントがあるように考えています。
〈岩政大樹。東京ユナイテッドFC。9月16日「PITCH LEVEL 例えば攻撃がうまくいかないとき改善する方法」を上梓〉