雪景色の会津若松城も悪くない
外川淳の「城の搦め手」第31回
前回は、桜の撮影の話で文字数が満杯となったので、今回は、雪景色の会津若松城天守にまつわる話題を紹介したい。
城そのもの魅力を伝えるためには、四季の色彩は邪魔になると考える一方、モノトーンを基調とする城に付加される彩りはワンポイントして悪くはない存在だと思う。なぜか、会津若松城は高校時代にはじめて訪れて以来、8度ほど攻めており、四季それぞれの写真がそろっている。
名古屋城は不思議と夏に攻めることが多く、深緑に彩られた写真がパソコンのフォルダーの大部分を占める。美しい芸術的な城の写真を撮影しようとするなら、季節ごとに有名な城を巡るという取材形態になるのだろう。だが、私の場合、撮影の目的が違うため、できるだけ、紅葉や桜に邪魔されない冬がベストと考えている。とはいえ、北国の城では雪に覆われると、城の構造がわかるような写真が撮影できなくなる。
天守前方の樹木に葉が芽生えると、このアングルから撮影しても、城の写真として成立しなくなる。また、意外に雪景色を意図的に撮影しようと、北国の城を訪れても雪はなかったという悲しい事例も少なくない。葺き替えられた天守の赤瓦と、雪景色のコラボを撮影するという目的のもと、3月下旬、会津若松を訪れたところ、会津若松駅周辺には雪の影もなし。駅から城へとバスで移動すると、城内には、北側の日陰にかろうじて残されていた。
除雪された雪は、きれいではなく、記録用のカット。ところで、城の撮影には三脚は不要と考える。デジタルカメラであれば、三脚が必要なほど、シャッタースピードを下げる必要もない。また、あんなに重たい物体を持ち運び、アングルを決めるのに手間取るよりも、さまざまな地点から、下手な鉄砲も数撃てば当たるという発想により、撮影した方がいい写真に巡りあえる確率が高まる。
デジカメの利点は、撮影したカットを確認できること。すぐに反省を生かしてアングルや絞りなどを変更し、バシャバシャと撮影し続ければ、お気に入りのカットを作り上げることができるだろう。