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「自己責任論」は不寛容? 借金問題は社会全体で解決すべき

【借金問題】を藤田孝典氏が徹底解説3/3

「今さら聞けない」ニュースのキーワードについて、「分からないことはなんでも聞いちゃう」いまドキの社会人、トオルくんとシズカちゃんが第一人者の先生たちに話を聞いていきます。

第一回:増える「贅沢していないのに借金をする」人。今や貧困は全世代の課題だ
第二回:リボ払いにカードローンの激甘審査。返済能力以上の借金を負わせる制度は異常だ

借金問題は個人の努力だけでは解決できない!

田中光さんのシュールイラストも必見! 4コマで分かります

トオル…奨学金や消費者金融、カードなどで借金を重ねる人が増えていることは分かったけど、借金問題を解決するにはどうしたらいいんだろう?

シズカ…誰だってわざわざ利子がつく借金なんてしたくないわよね。でも、やむを得ない理由があって借りているわけだから、個人でどうこうできるような話でもないような気が…。

藤田…確かに、生活を切り詰めても生きていくのに必要なお金が足りず負債を抱える人が増えているわけですから、借金問題は各々が気をつければ解決できるというものではありません。社会全体の問題として行政レベルでも取り組む必要があると思います。そのなかでも、早急に見直すべきは「社会保障制度」です。

シズカ…日本の社会保障制度って、十分とは言えないのかしら?

藤田正直、全然足りないと感じています。教育・保育・住宅・介護・医療の5大ニーズが自力で賄いきれなくなった時、人は負債を抱える傾向にあります。低賃金でも暮らせるようなインフラが整備されている国では、そこまで借金問題は深刻化していません。制度のないところに負債が蔓延るのです。

トオル…他の国はどうなんですか?

藤田…高等教育への公財政支出をGDPで比較すると、日本の支出はOECD加盟国の中で最下位。他の先進国は大学までの教育資金、大学学費の負担がそこまで重くないのですが、日本では基本、大学学費は全額自己負担。もし賄えなかったら有利子の奨学金を借りる人がほとんどです。

シズカ…ヨーロッパ各国は公営住宅制度も当たり前になっているって聞いたことがあるわ。

藤田その通りです。フランスでは全住宅のうち約20%は公営住宅、社会住宅で、収入が安定していない若い世代がよく利用しています。日本の場合、2013年時点で全住宅に占める公営住宅の割合はたったの5%弱。公営住宅の倍率が800倍に達する地域もあります。若者や単身世帯は事実上、入居できない仕組みになっていますし。だから民間賃貸住宅に家賃が高くても入居するし、住宅ローンは返済が大変でも購入しなきゃならない。

トオル…公営住宅制度はすごく羨ましい! もし、家賃の負担が減ったら浮いた分は好きなことに使えるしね。

 
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