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「自己責任論」は不寛容? 借金問題は社会全体で解決すべき

【借金問題】を藤田孝典氏が徹底解説3/3

借金で本当に困ったときは法テラスに相談すべし

シズカ…もちろん社会保障制度が充実しているに越したことはないけど、現段階では不足している状況なのね。少しでも自分で負担を減らすことってできないのかしら?

藤田…月並みな意見になりますが、やはり借金も“商品”なので、いち消費者としてリテラシーをしっかり持つことが大切です。どれだけ利息がかかっているのか知らずに、カードローンや消費者金融を利用する方が非常に多いのが気になります。ローンは“商品”だという感覚で、商品表示を調べてから購入してほしいです。

トオル…ドキッ! でもホントに利息のことは全然気にしていなかったかも。

藤田…その上で、金融機関だけでなく「社会福祉協議会」への相談も検討していただきたいですね。こちらは地域の福祉増進を目的とした民間の非営利組織で、審査を通れば上限3%以内の利息(基本は無利子)でお金を貸してくれます。条件はありますが、極めて良い条件で生活費や教育資金などを貸してくれます。

シズカ…困ったときは、金融機関以外の利用も視野に入れて、選択肢を広げたほうがいいのね。

藤田…また、すでに借金の返済に苦しんでいるのであれば、早めにしかるべき機関に相談してほしいです。街の弁護士でもいいですし、国が運営している法テラスに問い合わせてみるのもいいでしょう。法テラス、各法律事務所では経済的に余裕がない人には無料で法律相談に乗ってくれます

トオル…専門家に相談すれば、借金を整理し直すことができるかもしれないんだ!

藤田…はい。あくまでも状況によりますが。あとは、借金をする前に明らかに生活が苦しい場合、生活保護などの社会保障制度に頼るのも手です。

シズカ…でも、生活保護ってなんだかハードルが高い気がする。役所の窓口に相談に行くことすらためらう人も一定数いるんじゃないかしら。

藤田…「生活保護を受けるのは恥ずかしい」と思う人がいるのは事実です。ですが、そうした意識が働けば、行政に頼ることもできず、利息の高いカードローンや消費者金融に手を付ける結果になってしまう。収入が明らかに低い場合は確実に返せなくなります。

トオル…確かに自分の努力だけじゃどうにもならない人もいるし。

藤田…今の社会システムだと、そういう人が出てくるのは必然なんですよね。それをすべて個人の責任で片付けてしまうのはあまりにも不寛容ではないでしょうか。

シズカ…借金や経済的な困窮がすべて「自己責任」と言われると、社会保障制度の議論も進まなくなるし、当事者も支援を受けにくくなってしまいそうね。できるだけ寛容な社会になるよう、それぞれが意識を変えていくことも借金問題を解決する糸口かもしれませんね。藤田先生、ありがとうございました!

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