料理や子育てをしたい男性もいる
『ガラスの天井のひらきかた』③
イクメンはもはや男性の憧れ
TVの情報番組で、東大卒の主夫が取り上げられているのを観ました。
元々は自動車メーカーで開発研究に携わっていたのが、長男誕生を期に専業主夫に。子供の送り迎えから風呂掃除までされているのですが、頭脳明晰なだけに、合理的で手際がいいのです。
料理には多少、時間とお金がかかるようですが、月に一度のママ友とのランチ会に参加し、人気者になっていました。
もはや『料理男子』や『イクメン』という言葉はすっかり定着し、育児休暇を取る男性や、専業主夫を選ぶ男性は年々増えているそうです。パソコン一台あれば、在宅仕事で高収入を得ることが可能な時代です。
主夫のための子育て支援協会や関連サイトも、どんどん立ち上がってもいます。
ジョン・レノンがショーンを自分で育てたように、男性だって、家事や料理や子育ての面白さに気づき、女性と共存共栄したがっている人もいるのです。
私が子供の頃はまだ『男子厨房に入らず』という言葉が生きていました。男性が台所に立つなど、みっともないとされていた時代です。プロの料理人の男性は、客用の料理は作っても、家庭で料理はしませんでした。
また逆に、料理人には、ほとんど女性がいませんでした。特に寿司職人の世界では、「女の握った寿司なんて食えるか! 生臭い!」と言われ、その根拠が「女には生理があるから体温が一定しない(高い)」という、言いがかりもはなはだしいものだったのです。
父兄参観が保護者会に、看護婦が看護師に、保母が保育士になるなど、さまざまな分野で性差がなくなってきました。
脱毛や化粧をしていたり、スカートを履いている男性も見かけます。
「男勝り」「女々しい」「女の腐ったの」「愚妻」「処女作」などということばも、もはや差別用語といってもいいのではないでしょうか。
武道の専門家が、『道場五訓』を教えてくださいました。精神論や礼儀、協調性を持つ人になるよう、子どもにも唱和させるのだそうです。
・「はい」という素直な心
・「おかげさま」という謙虚な心
・「私がします」という奉仕の心
・「すみません」という反省の心
これを毎日口に出して言えば、おのずと人として優れた大人になり、そこに性差はない、と。
先日、早稲田大学の近くのファミレスで、就職活動中の男女が、『会社四季報』をめくりながら話しているのを聞きました。
男子学生が女子学生に「休日出勤しなければいけないような会社には入りたくないな。子育ての時間も邪魔されたくないし」と話していました。
今やイクメンは男性の憧れになりつつあるようです。
『ガラスの天井のひらきかた あなたの成長を喜ばない人たちへの処方箋』より抜粋