JR根室本線で富良野へ、代行バス区間で思わぬ発見
代行バスと列車で根室本線をたどる
それなりの観光地だからか、数人が乗ってきて、バスは少々賑やかになった。さらに10分程走り、途中で1年以上も列車の走っていない根室本線を2度、踏切と陸橋で越え、東鹿越駅に到着した。さびしげな線路を見ているとやるせない気分になってくる。バスは駅舎の脇に横付けとなり、駅舎を通り抜けないで直接ホームに出た。無人駅だから、それでも良いのだろう。
駅舎の写真を撮っていたら、富良野方面から折返しとなるディーゼルカーが到着した。誰も降りてこないのでさびしい列車だなあ、と思ったが、時刻表を見ると東鹿越駅到着の列車はないので回送列車のようだ。
バス代行輸送でなければ、乗り降りすることもなかった東鹿越駅。利用者は1日平均1人以下ということで3月に廃止予定だったが、災害による代行バス輸送の中継駅として生きながらえている。二度と来ることはないかもしれないと思い、発車までの数分間で駅の様々な写真を撮り、列車に乗り込んだ。バスの乗客は全員列車に乗り換えている。
わずか1両のディーゼルカーは定時に東鹿越駅を発車。線路際のかなやま湖は木立に遮られて見えなかったが、しばらくして湖を鉄橋で渡る時に車窓から眺めることができた。カヌーやアウトドアが楽しめるリゾート地であるが、宿泊施設などは東鹿越駅の対岸にあって列車利用では不便なのが悲しい。
しばらくは山の中を走る。キハ40系の車内はすっかり古びてしまったけれど、列車ならではの安定感があって頼もしい。バスから乗り換えると、ホッとする。金山駅、下金山駅と過ぎ、空知川に沿って走る。9月初旬なのに、渓谷の木々が色づきかけていて、北海道はすっかり秋の風情である。
次第に山を降り、布部駅あたりから盆地の中を快走すると、富良野駅に到着。東鹿越駅からは、40分程であったが、充実した旅だった。この日の列車旅は、これで終わり。タクシーでリゾートホテルへ向かった。
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