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2020年教育改革に隠れた「ゆとり教育」と同じ失敗要素

【ゆとりからアクティブ・ラーニングまで】教育改革の9割が間違い 第2回

2020年教育改革の目玉とされている「アクティブ・ラーニング」。従来の詰め込み式教育をやめて、生徒による主体的な学習へと転換させるものだが、はたして効果はあるのだろうか。2017年10月に『教育改革の9割は間違い』を上梓する諏訪哲二氏に聞いた。

◆「ゆとり」教育と同じ困難さ

 

 アクティブ・ラーニングはとてもいい考えである。子ども(ひと)が「知」や生活習慣を身につけるうえで、必ず出会うことになる「社会化」と「個性化」の対立を、教育方法によって解消しようとしている。

 能動的学習の「能動的」とは、生徒の一人ひとりが積極的に参加することである。積極的に参加することによって、自己の内側に閉じこもりがちな「個性」をオープンに開いていこうという意味合いが入っていよう。

 そして「学習」とは、個の外部にある普遍的な「知」や真理や科学を受け容れて成長していくことである。

 アクティブ・ラーニングはある意味で、近代社会にある個と集団、個と社会の対立や矛盾を、学習の過程(成長の過程)でなくしていくか、縮めていこうという意味合いを含んでいるかもしれない。「ゆとり」教育にもこういう発想はあった。考えとしてはいい理論であり、正論であろう。

 問題は、人間の「知」の受容のあり方(自然性)に合致するかどうかということである。深く考えればアクティブ・ラーニングは冒険的ないしは危険でもある。「ゆとり」教育は全面的に実施できたとしても、人間の「知」の受容の自然性についての問題をクリアーできなかっただろう。単なる授業秩序の崩壊、学力低下に帰着した可能性は高い。

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諏訪 哲二

すわ てつじ

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~プロフィール~

1941年千葉県生まれ。「プロ教師の会」名誉会長。作家。東京教育大学文学部卒業。埼玉県立川越女子高校教諭を2001年3月に定年退職。「プロ教師の会」は、80年代後半に反響を呼んだ『ザ・中学教師』シリーズ(宝島社)をはじめとして、長年にわたり教育分野で問題提起を続けている。著書に『なぜ勉強させるのか?』『間違いだらけの教育論』(以上、光文社新書)、『オレ様化する子どもたち』『「プロ教師」の流儀』(以上、中公新書ラクレ)など。


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  • 2017.10.10