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“プロ教師”が考える。教えるのが上手な教師の条件

【ゆとりからアクティブ・ラーニングまで】教育改革の9割が間違い 第3回

◆教師は独自の授業を追求するべきである

 私は「教師のちから」の発揮の仕方としては、「やること」は決められていても、「方法(やりかた)」は教師個々人にまかせるべきだという考えである。

 教師は教える主体にならなければならない。職員会議や学年会議で担任のやるべきことが決められるが、やり方は担任にまかせるべきである。授業もクラス運営も具体的には教師個人にまかせられるのが伝統でもある。方法は担任であるその人が独自に考案することが大事だと思う。

 つまり、私はパターン化された教育方法は望ましくないと思う。私は生活指導運動の影響を受けたので、クラス運営は生活班を作ってやっていた。ほかの教師たちは生徒一人ひとりを相手にしていたが、実際は放っておくのと同じだった。

 生活班は掃除の班でもあり、仕事の分担の単位であり、班長がつねに班員の面倒を見るようになっていた。

 このやり方が一番良い方法だと思ったことはない。教師修業時代に班の重要性を実感し、クラスの一人ひとりとつながれる自信などなかったから、生活班を続けてきただけである。

 担任は自分に合ったクラス運営の方法を考え出すべきであり、授業も独自の展開方法を創り出すべきだと思う。それが教師(担任)の生徒たちに対する誠意であり、生徒たちとつながれる根拠である。

 教えるのが上手な教師とは、教科にかんして沢山知識がある人や、何でも説明・解説できる人ではなく、相手(生徒)が何をどれだけ知らないかを知っている人であり、その子にどう教えるのが適切かを感受できる人なのだと思う。

 そういう力は方程式化されないものだ。だから、「これが効率的だ」と指導しようとする教育委員会主催のあらゆる研修会は役に立たないし、教師もほぼ全員嫌がっている。

 教師が独自に創り上げるのはむずかしいことだが、教師の力量はそうやって形成されるしかない。

『教育改革の9割が間違い』より構成>

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~プロフィール~

1941年千葉県生まれ。「プロ教師の会」名誉会長。作家。東京教育大学文学部卒業。埼玉県立川越女子高校教諭を2001年3月に定年退職。「プロ教師の会」は、80年代後半に反響を呼んだ『ザ・中学教師』シリーズ(宝島社)をはじめとして、長年にわたり教育分野で問題提起を続けている。著書に『なぜ勉強させるのか?』『間違いだらけの教育論』(以上、光文社新書)、『オレ様化する子どもたち』『「プロ教師」の流儀』(以上、中公新書ラクレ)など。


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