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なぜ私たちは「子供をもたない人生」を選択したのか

ともに40代既婚、子ナシの3人が語りあった。

母親ではなく「父親として子供がほしい」という心理

 個人的に、私は「女性だから子供はあえて作らない」という思いがあります。でも妄想として、自分が男性だったら、女性に3人ぐらい産んでほしいなという気持ちもすごいあるんです(笑)。

 イスラエルやドイツで活動している社会学者の書いた『Regretting Motherhood 』という、母親になったことを後悔している女性たちを扱った研究の論文が書籍化されているんですけど、その論文に基づいて、ドイツのライター、作家さんたちが自分の経験を書くという流れがあります。そのうちの一冊で、『母親であることがハッピーだという嘘』というタイトルの本があって、そのサブタイトルが『私は母親ではなく父親になりたかった』です。読んでみると悲しい意味で納得してしまう部分がありました。

 出産・子育てでは、女性の負担が大きく仕事を少し制御したりだとか、出産によってホルモンバランスが崩れてしんどくなったりとかありますよね。でも、もしそうした苦労や苦痛をしないで子供が3人ぐらい持てるのなら、今、子供がいてもいいんじゃないかという気持ちはちょっとあるんです。それは自分は男性にはなれないので本当の妄想ですけどね。

吉田(潮:コラムニスト) 拙著『産まないことは「逃げ」ですか?』の中でも、サンドラさんが紹介してくれた本をいくつか取り上げているけど、これって日本では翻訳されてないのよね。

サンドラ さっき紹介した『Regretting Motherhood』というのはイスラエルのOrna Donathさんという社会学者が書いた論文なんです。その論文は子持ちの女性に「今の時点であなたは子供を持つ前の段階に戻れたとして、もう一度子供を持ちたいと思いますか? それとも思いませんか?」という質問をして、「No(いいえ)!」と答えた23人の女性にインタビューをした話なんですね。そのことがヨーロッパとイスラエルですごく話題になって、大きく取り上げられたんです。

中川 それは実名で書かれているのですか?

サンドラ さすがに仮名ですね。その子供に読まれたら「まずい」とかあるので、ニックネームを使っています。それを受けて本を書いた人たちは実名で出していますね。私の場合は子供を産んでこうでした、やっぱり大変でしたみたいな内容なんですけど。それらの本が見事に一冊も日本語には翻訳されていないんですね。

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吉田 潮

よしだ うしお

コラムニスト

1972年生まれ。おひつじ座のB型。千葉県船橋市出身。ライター兼絵描き。



法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。『週刊フジテレビ批評』、『Live News it!』(ともにフジテレビ)のコメンテーターなどもたまに務める。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より『東京新聞』放送芸能欄のコラム「風向計」を連載中。著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『TV大人の視聴』(講談社)、『産まないことは「逃げ」ですか?』(KKベストセラーズ)、『くさらない イケメン図鑑』(河出書房新社)ほか多数。本書でも登場する姉は、イラストレーターの地獄カレー。



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  • 2017.08.26