なぜ私たちは「子供をもたない人生」を選択したのか
ともに40代既婚、子ナシの3人が語りあった。
有働由美子さんと山口智子さんの問題提起
中川 多様性の話で言いますと、「子供はつくらない」と公に宣言した有働由美子さんと山口智子さんの問題提起に触れないわけにはいかないですね。子供をつくらないという選択をどう考えるかってことです。
吉田 山口智子さんの旦那は唐沢寿明さんで、ご自身は旅館の娘さん。若いころからずっと子供を持たないということを決めてらっしゃったんですけど、それをあえて50歳ぐらいのときに女性誌の『FRaU(フラウ)』(2016年3月号)のインタビューで話したんですね。これがかなり反響がりました。
山口さんの言葉を引用すると「私は特殊な育ち方をしているので血の結びつきを全く信用していない」、「ずっと親というものになりたくないと思って育った」と。
20代・30代でも、そう思っている人も中にはいると思うんですよね。自分のことを考えたとき、本当はそうなんだけど今の日本だと「本音を言う」と袋叩きにあうという理由で言えない人はいると思います。
でも、NHKアナウンサーの有働由美子さんはそこを素直に話したわけです。これにものすごい共感をする女性たちもいっぱいいました。NHKの『あさイチ』という番組で2016年の5月18日に「どう思う? ”子どもがいない”生き方」という特集があったんですね。
有働さんは、妊娠が可能かどうか検査を受けて、結果的に産まない人生を生きてきた。本当は悩んだり体の不調とかもあったり、でも仕事がとても充実していたそう。
その一方で、「とんでもない間違いをしたのではないか」と。「産む機能があるのに無駄にしたのではないかと、気が狂ったように泣いたりして、病院通いをした」という話を番組の中で有働さんご本人がされたんですよね。有働さんの言葉を引用すると「仕事がもしなくなったらみんなには子供が残るけど私には結局何も残らないんやんって。そう思いたくないからこれで満足だって思い込もうというような時期があった」という話をされていたんですよね。