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スコアブックに現れる「G」の正体とは

スコアブック? 高校野球の魅力って? 2年目女子編集部員に分かりやすく説明してみました。(中編)

:ほぉ! これはなんですか? 3Fというのは……

:これは人によって書き方がありますけど、ファウルフライということですね。この「3」というのは、ファーストです。ファーストのファウルフライ。で、この三角(「▲」)は、バントしたけど失敗して、それがファウルフライになったってこと。三角をつけないと打ってファウルフライかバントしてファウルフライかが分かんないじゃないですか。普通に打ってアウトなのか。

:(スコアブックをめくりながら)ここら辺はあまりそういう記号がないですね。

:……この辺、あんまり熱心に取材してないんでしょうね……すみません。

:(笑)。試合によって書き込みの量が全然違いますね。

:まぁ、白状すると、自分がその原稿を書くかどうかにもよるんだけどね(笑)。(ページをめくりながら)あ、これは北海道があった。駒苫ですね。途中まで6対1で負けていたんですけど、一気に6点取ったんですよね。

:7回で6点!

:大逆転。五十嵐君打ってますね……(相手は)鳴門工業。あ、平田君これこれ! 3打席連続ホームランですね……。で、これ、ここに「キューピー」って書いてるんですけど……。

:なんですか「キューピー」って!?

平田3ホーマー、たまたま「キューピー」もあります

:甲子園にキューピーの看板があるんですよ。

:あ、広告ですか?

:そのキューピーの上に行ったんだね。

:あ……はぁ……。

:いや、分かりやすいんだよ(笑)? そうやって書いておくと。「結構飛んだんだな」って。

:飛距離とかの目安にもなるんですね。

:(雑誌を開いて)ほら、ここに。キューピー。大きいんですよ、キューピーの上って。一応「キューピー弾」っていうあれをつけてるんですよ。

 

(楊先生、ちょっと必死になってきましたか!?)

 

:他にもキューピーは今までに……。

:ありますよ。結構あるんですよ。まあ、1大会に3、4本はありますよ、「3,4キューピー」があります。まあ、それが果たして原稿の役に立つかは……ね(笑)。

:さすがに「キューピー越え」とは書けないですもんね(笑)。

:ははは。

:この書き込みの量って、やっぱり大差がつくとおもしろくなかったりしますか? 僅差の方が書きこむ量が多くなったりとかしますか?

:そうですねえ……僕の場合は試合後のコメントを書いていることが多いから、相手がよくしゃべるかどうかにもよりますけどね。

:取材相手が。

:そうそうそう。で、こっちは(他の箇所がサインペン書きなのに対し)ボールペンじゃないですか。これはね、(東北戦に勝利して)大阪桐蔭が勝ち残っているじゃないですか。で、次の対戦が準決勝の駒苫になるんです。その準決勝の前にも取材時間があるんですよ。試合前に。だからこれ(サインペン書き)は東北との試合が終わったあとに聞いた分なんですが、ちょっと違うペンで書いてあるのは、次の駒苫との試合前に聞いている話ですね。

色が変わったメモ

:なるほど!

:色を変えたりして。これはペンを変えてるから「この試合じゃないな」っていうのが分かるんですけど。一応、色々考えているんですよね……。

:ちなみに、今までつけてきた中で、一番見返しておもしろかった試合って……

:それはね、見返す回数が多かったものが一番記憶にはありますよね。……編さんは小学生のころかな?

:10……4,5年前の試合ですか?

:もうちょい前だね。98年、松坂大輔投手のときの……これあまりにも見返すものだからばらけちゃって、テープで留めてあるんですよね。これは横浜とPLの延長17回ってやつなんですけど……

:よくテレビで、「白球の記憶」でやる、あの……

:そうそうそう、やりますね(笑)。よく見返すっていうのは、そのあとも色んな人に取材に行ってるからなんですけど、書き込みはそんなにないですね。普通ですねこれ(笑)。……これですよ、一番よく見るのは。

 

(本当に普通かどうかはぜひ、『「スコアブック」は知っている。』の第二章・1998年スコアブックでつながる記憶、をご覧下さい)

 

:やっぱり、今見返してもおもしろいと思いますか?

:そうですねえ、これ見ておもしろいというよりも、全体的な記憶ですよね。

:これを見ながら思い出して……という。

:そうそうそう。今ね、DVDとか色んなものが出てるから……

:そうですね。それこそテレビで何回も編集された映像が出てきますしね。

:それでこの翌日に、今度、横浜が6対0で負けてたんですけど、8回9回で逆転してしまうというのがあったんです。この試合もすごい、おもしろいですよね。「おもしろい」っていうのもあれですけど(笑)。

:このときもピッチャーは松坂だったんですか?

 

(呼び捨てに悪意はありません。関係者のみなさまにお詫び申し上げます)

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楊 順行

よう のぶゆき

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は52回目を数え、観戦は2000試合を越えた。。春夏通じて43季連続“出場”中。著書に『スコアブックは知っている』(KKベストセラーズ)『甲子園の魔物』(ベースボールマガジン社)などがある。


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