生活習慣病、認知症の予防にも……いま注目されているチーズの健康効果とは
知って得するチーズの健康効果
◆がん予防に関する研究も進んでいる
堂迫さんは、まだあまり一般的ではない虫歯予防の効果についても高く評価する。
牛乳やチーズに含まれているカゼインというたんぱく質は、歯にリン酸カルシウムを供給する役割を果たし、キシリトール並みの虫歯予防効果が期待できるというのだ。特にハード系のチーズは、その効果が高い。
「理由は3つあり、第1にチーズを食べると口内のpHが下がりにくく酸性にならないので、虫歯ができない。第2に歯の表面のエナメル質に小さな孔が空いても、チーズから供給されるリン酸カルシウムがその孔の修復を促進します。第3はハード系チーズの場合ですが、よく噛んで食べるため、唾液中の抗菌成分の働きで虫歯原因菌を抑制します。昔からフランス料理では、デザートにチーズを食べますが、あれはとても理に適っているんですね」。
最近では、チーズによる抗がん効果の研究も進んでいるという。
「特にカビ系チーズやウオッシュ系チーズが、がん細胞の増殖を抑えるのではと考えられています。ただし、がんの種類によってはリスクを高める可能性も否定できないので、現段階ではあくまでも仮説に過ぎず、今後の研究の成果に
期待したいところです」。
◆主なチーズの効能
①高血圧予防
豊富に含まれるカルシウムとカリウムが、血中ナトリウムを排出して、ミネラル組成を改善。体内の過剰なナトリウムを排除し、高血圧を積極的に抑える働きをする。
②認知症予防
カビや乳酸菌の働きで、脂肪から生成したと考えられる有効成分が、認知症原因物質を減少させる。特にカビ系チーズは、脂肪を分解する力が強く、予防効果が高い。
③筋肉の合成や修復を促進
チーズには筋肉の合成やスポーツにより損傷した筋肉を修復させるのに有効な分岐鎖アミノ酸(BCAA)が豊富に含まれている。
④虫歯予防
たんぱく質やミネラルの濃度が高いチーズを食べると、口内のpHが下がらず、虫歯予防に。ハード系のチーズは、十分咀嚼して食べるので、抗菌力はさらにアップ。
⑤血糖値の上昇を抑制
食べても血糖値が上がらず、糖尿病のリスクが低いチーズ。特にお米やパン、パスタなどの炭水化物と一緒に食べると、血糖値の上昇を緩やかにする効果を発揮する。
〈雑誌『一個人』2017年11月号より構成〉
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