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国際協力=ユニセフに抱く違和感。日本に足りない“イシュー・ファースト”

国際協力には大きな偏りがある。

世界最悪の紛争地ソマリアに飛び込み、地元のギャングたちを脱過激化していく。誰にも真似のできないアプローチでテロと紛争に歯止めをかけようとする。NPO法人アクセプト・インターナショナル代表理事の永井陽右さんは、熱い志と、冷静な視点をあわせ持った、若き活動家だ。永井さんが日本の「国際協力」に抱く違和感とは?

ほんとうの国際協力とは。自己満足ではなくイシュー・ファーストで

ーー日本で若者の国際協力というと、大学1年の夏休みに発展途上国に旅行して、貧しい村や人々と接して帰ってくる、漠然とそんなイメージがあります。

 まさにそんな自己満足のイメージがあるんですよね。まず僕は国際協力というものは、ニーズにしたがって問題解決するために取り組むべきだと思ってます。自分の興味のあることから始めようとすると、どうしても旅行先のカンボジアの貧しい村で出会った少年のことなんかが印象に残ってしまって、国際協力のニーズやトレンド、もしくは紛争国で起こっている虐殺の問題などがパッと頭から消えてしまう。

 たとえば国際協力で人気があるのは、ブッチ切りでユニセフです。これは女性・子供・難民という昔から多くの人が共感して目を向けるような弱者を助けているからですね。みんなそれを「やりたがる」んです。この分野では99%の人が、「やりたいことをやろう」「自分の強みを生かそう」「専門分野を生かそう」と言うんですが、果たしてそれが正しいのか。

 ソマリアで活動している僕からすると、紛争国での活動を好きで好きでやりたくて、専門知識と適性を持っている人間なんて見たことがない。それが学生レベルとなると、いるわけがありません。

 僕たちはテロと紛争をなんとかするために現地のギャングや、イスラム過激派組織を脱退して間もないメンバーを更正させて受け入れていますが、非常に人手が少ないんです。多くの人がそもそも彼らに共感したくない、彼らは罪を償うべきだと考えているし、活動地域がシビアで治安が悪く、オペレーションリスクが高いからです。

 そう考えると、国際協力には非常に大きな偏りがあるんですよ。だから僕たちは好き嫌い、興味の有無、自分の強み・弱みを抜きにして、イシュー・ファーストで問題に向き合っています。

 
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永井 陽右

ながい ようすけ

NPO法人アクセプト・インターナショナル代表理事。1991年神奈川県生まれ。2015年3月早稲田大学教育学部卒。2016年12月ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの紛争研究修士課程卒業。早稲田大学在学中にソマリアの大飢饉と紛争の問題を知り、NGO「日本ソマリア青年機構」を設立。2017年よりNPO法人化し「アクセプト・インターナショナル」の代表理事を務める。第28回人間力大賞(外務大臣奨励賞)、小野梓記念賞特別賞など受賞多数。


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