監督が求めることと自分のやりたいこと。アントラーズで抜擢され、干された監督との付き合い方
岩政大樹が書き下ろす選手と監督の距離感
監督が変わるたびに「スタメンから外す候補」として見られていた
僕が所属した10年間、鹿島アントラーズは一貫してブラジル人監督でした。のべ5人の監督さんと付き合いました。
1年目のシーズン途中から退団することになる10年目のシーズン途中まで、まる9年間僕は、出場停止と怪我以外でスタメンを外されることがありませんでした。これはちょっとした僕の自慢ですが、そのことから僕を「不動のレギュラー」「スタメン安泰」と捉えていらっしゃった方も多かったのですが、実態は違いました。僕は監督が変わるたびにいつも「スタメンから外す候補」として見られていました。
監督の立場に立てばそれも理解できます。不器用で足が遅く、分かりやすい特徴はヘディングくらいしかないので、なぜ“イワマサ”が試合に出ているのか分からないのでしょう。僕にはいつも他の人以上に自分の存在意義を絶対的な結果で示し続ける必要がありました。
その中で9年間、僕が生き残り続けた要因は「常に100%」の姿勢でいたことが大きかったと思います。華麗な技術を駆使した芸術的なサッカーがイメージされるブラジルサッカーですが、彼らが共通して求めるものは実は華麗さではありません。
練習でも試合でも、やりたいプレーもやりたくないプレーも、調子がいい時も悪い時も、「常に100%」を続けること。彼らが求めることはいつもそれだけです。
元々僕にできることはヘディングとそれしかなかったですが、スーパーエリートが揃う鹿島アントラーズの中では異色に映ったのでしょう。彼らの求めるものと僕のスタイルが合っていたのか、彼らは次第に大きな信頼を置いてくれるようになりました。
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