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監督が求めることと自分のやりたいこと。アントラーズで抜擢され、干された監督との付き合い方

岩政大樹が書き下ろす選手と監督の距離感

監督に「干される」経験をすることに

   それでも鹿島での最後の年となった2013年シーズンでは、俗に言う、監督に「干される」経験をすることになりました。当時の監督はトニーニョ・セレーゾ監督でした。
 

 

   セレーゾ監督は僕をプロデビューさせてくれた監督です。1年目、僕はピッチ内でもピッチ外でもよくチームメイトからいじられていました。僕も新人だったので、それ自体は決して居心地が悪かったわけではありませんが、選手たちが僕を信頼していないことは明らかでした。そんな下手くそな男に真っ先に期待してくれたのがセレーゾ監督でした。毎日つきっきりで居残り練習をしてくださり、試合でもタイミングを見ながら大事に使ってくれました。

   そんな彼が帰還したシーズン。今振り返ってもやり切れない気持ちが詰まった息苦しい一年でした。

   最初のつまづきは開幕直前の肉離れでした。宮崎キャンプを終えて鹿島に戻ってきた後に受傷したその怪我は、僕には珍しく重めの肉離れでした。開幕戦には肉離れが完治どころか全く治っていない状態で出場しました。そんな状態だったので、試合中にまた出血をして悪化、そしてまた治らないまま試合に出る。そんなことを5月くらいまで繰り返してしまいました。

   それは、それまで続けてきた僕のやり方でしたが、セレーゾ監督にはどう見えたのか。僕も鹿島でのキャリアの終焉を考えていた時代です。「それまで続けてきた僕のやり方」という判断は今でも間違いではなかったと思っていますが、僕とセレーゾ監督との間で少しだけボタンのかけ違いが起こっていたのかもしれません。

   かけ違ったボタンは様々なところで姿を見せ始めました。

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岩政 大樹

いわまさ だいき

東京ユナイテッドFC

サッカー選手

1982年1月30日生まれ、35歳。187cm/85kg。ポジションはセンターバック。

山口県出身。周東FC、大島JSCを経て岩国高校サッカー部でプレー。東京学芸大学在学中に注目を集め、2004年鹿島アントラーズに加入。

2007年~2009年鹿島アントラーズのJリーグ3連覇に貢献。自身も3年連続Jリーグベストイレブンに選出される。

2013年鹿島アントラーズを退団。2014年にはタイプレミアリーグのテロサーサナでプレー、翌年ファジアーノ岡山に加入。

強さとクレバーさを兼ね備えたプレーでディフェンスラインのリーダーとして活躍する。2017年シーズンより関東サッカーリーグ1部の東京ユナイテッドFCに加入(コーチ兼任)。東京大学サッカー部コーチも兼任。

2016年シーズン終了現在で、J1通算290試合出場35得点、J2通算82試合で10得点。日本代表国際Aマッチ8試合出場。

2017年9月初の著書『PITCH LEVEL 例えば攻撃がうまくいかないとき改善する方法』を上梓。


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  • 岩政大樹
  • 2017.09.19