能登の津々浦々を結んでいた、のと鉄道能登線(旧国鉄能登線)【前編】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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能登の津々浦々を結んでいた、のと鉄道能登線(旧国鉄能登線)【前編】

ぶらり大人の廃線旅 第21回

住民が行った駅前の除雪に感謝状

羽根駅。プラットホームには緑が押し寄せている印象。除雪を感謝する鉄道管理局からの感謝状がある。

 線路が新しいこともあり、内陸側をいくつもの短いトンネルで抜けているので食後は早々に羽根駅に向かって走った。羽根駅は海から少しばかり山側へ坂道を上ったところで、かつての「駅前広場」に向かって伸び放題の枝の陰に「明日へ亜走る のと鉄道」という看板があった。のと鉄道協力会・のと鉄道利用促進協議会・能都町が設置したものだが、存続はかなわず、今は空しく佇立している。

 閉鎖された待合室の中には止まった時計とともに感謝状が2枚掲げられていたが、そのうち昭和43年(1968)4月14日付のものは、国鉄金沢鉄道管理局長から地元の羽根区長ほか一同に宛てたもの。「今冬の雪害に際しましては終始積極的に駅前広場等の除雪を行なわれ鉄道輸送の確保に多大の貢献をされました この御支援に対し心から感謝の意を表します」とある。まだ自家用車がそれほど普及していない当時、地区の住民がボランティアで駅前の除雪に取り組んだのだろう。大人の数だけ自動車が普及したといっても過言ではない現在とは世界が違う。

 

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今尾 恵介

いまお けいすけ

1959年横浜市生まれ。中学生の頃から国土地理院発行の地形図や時刻表を眺めるのが趣味だった。音楽出版社勤務を経て、1991年にフリーランサーとして独立。旅行ガイドブック等へのイラストマップ作成、地図・旅行関係の雑誌への連載をスタート。以後、地図・鉄道関係の単行本の執筆を精力的に手がける。 膨大な地図資料をもとに、地域の来し方や行く末を読み解き、環境、政治、地方都市のあり方までを考える。(一財)日本地図センター客員研究員、(一財)地図情報センター評議員、日本地図学会「地図と地名」専門部会主査、日野市町名地番整理審議会委員。主著に『日本鉄道旅行地図帳』『日本鉄道旅行歴史地図帳』(いずれも監修/新潮社)『新・鉄道廃線跡を歩く1~5』(編著/JTB)『地形図でたどる鉄道史(東日本編・西日本編)』(JTB)『地図と鉄道省文書で読む私鉄の歩み1~3』『地図で読む昭和の日本』『地図で読む戦争の時代』 『地図で読む世界と日本』(すべて白水社)『地図入門』(講談社選書メチエ)『日本の地名遺産』(講談社+α新書)『鉄道でゆく凸凹地形の旅』(朝日新書)『日本地図のたのしみ』『地図の遊び方』(すべてちくま文庫)『路面電車』(ちくま新書)『地図マニア 空想の旅』(集英社)など多数。


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