「ビジョンを相手に伝える」ときに一番大事なこと【久瑠あさ美メンタルトレーニング】第10回 #2講評
久瑠あさ美の「コロナ禍以後をいかに生きるか」Vol.10
■自分のビジョンを伝える方法
(ホワイトボードで図解しながらのレクチャータイム2)
鈴木:今の出版業の状況に対して、「塹壕戦」のような気分があるんです。その塹壕戦から大きく飛びださないといけない、という思いもあります。
でも、ただ飛びだしても撃たれて終わりですから、ビジョンと戦略をもって、仲間にもそれを魅力的に、明確に示していきたいんですよ。
でも現実には、コロナの自粛でストレスが溜まって、社内でも「本当に売る気があんのか!」みたいに強く言ってしまうんですよね。これはよくないな、と。その場にいたみんな、ドン引きしてましたから。
久瑠:そうですね。「愛」をもって伝えないといけません。
感情のもう一つ下の段階に「情動」というものがあるんです。鈴木さんの言葉を聞いてる人がこの「情動」になってしまうのが、「意固地になる」という状態なんですなんですよ。
「売れてないものを売る」とか「できてないことをやる」のような、現状とは違う変革に関わるようなことは、先ほど説明した「ホメオスタシス」が働いて、なかなか他人に伝わりません。
ですから、感性でもって、それをやると何を得られるのか、どんな達成感を得られるのかを伝えて、「是非やらせていただきたい」とむしろ相手に思わせていける、そこまでいかないといけない。
そこで、縮こまってる人は絶対に動かない。「ヘタなことするより、ここは引いておこう」「やって怒られるより、なにもしないほうがいい」みたいに思う人人は多いですから。
でも鈴木さん、ガツンとやったでしょ?(笑)
鈴木:いやあ、お恥ずかしい。自粛ストレスですよ、本当に。
久瑠:そこは持ち前の「茶目っ気」でいけばいいんですよ。「演じて」やるのはいいんです。「怖い役を演じてやろう」で行けば、的確に演じてるので「……なーんちゃって」を利かせられる。受ける側も、「ああは言ってるけど、僕らのために言ってくれてるな」と思えるようになる。それが鈴木さんが憧れている「チャーミング」なんですよ。
鈴木:ああ、なるほど!チャーミングに変換しないとダメですね。
久瑠:「鈴木さんにあそこまで言わせちゃった」って思う人、そういったマインドを創らないといけないんです。
自分から動けない人は多いですから、それでも打てば響く人間を育てることは、実はすごい課題なんですね。指示を受けてしか動けない人が多いのは、要は「自分を守る」という次元で生きているからですね。そういう人に対して「君がやってることはダメだ、おかしい」とぶつかっていくと、ばっさりガードが入る状態になりますよね。
でも、こういう時代だからこそ、「愛」を届けることが必要なんです。
愛とは、勇気です。決して、優しさや柔らかさのことだけではない。強烈なビジョンや、強烈な仕事愛を伝える。「あそこまで本気になってるんだ」ということを伝えるんです。「熱くなる」に値するのかどうかなんですよ。
鈴木:なるほど……図星で。分析されてますね。非常に貴重なアドバイスをいただいております。
《まとめ②》
◉人は慣れ親しんだ自分に留まろうとする
◉自分を広げるキャパシティをトレーニングで創り出す
◉想いを伝えるにはチャーミングが必要
◉愛と勇気で自分のビジョンを届ける
次回は、同じワークに取り組んだディレクター甲斐荘さんのマインドを読み解いていきます。お楽しみに。
(【久瑠あさ美メンタルトレーニング】第11回へ、つづく。)