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定年後の家計、食費や住宅ローンより怖いもの

定年後の家計の守り方③

定年後を、どう生きるか。それは働く世代にとっての永遠のテーマかもしれません。
そこで今回は、定年後の「家計」に注目。「定年後も暮らしていけるのか」という漠然とした不安を抱えていながら、それをどう解消すればいいかわからないという人のために、ファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さんが、定年後の家計管理のコツをやさしく解説してくれました(第3回/全3回)。

◆60歳を過ぎるといきなり増える、思いがけない出費

 

 定年後の家計管理というと、多くの人が食費や住宅・車にかかるローン、保険の管理を思い浮かべると思います。そうした、ある程度固定された出費について見直すことはもちろん大事なのですが、実は固定費と同じかそれ以上に、定年後の家計にとって痛い出費があるのをご存じでしょうか。
 60代以降で最も怖いその出費の内容は、「予想外の出費」です。具体的には、住宅の修繕費や冠婚葬祭費、家電品の買い替え費用などがそれに当たります。一例ずつ、詳しく見ていきましょう。

 

◆戸建てなら避けられない改修

 まずは、住宅の修繕費について。30代で一軒家を建てた人は、60歳になる頃には築25~30年程度の家に住んでいることになります。おそらく、築15年になるまでに一度は修繕をしていると思うのですが、定年の時期になると再度メンテナンスの必要が出てきます。また、退職金を修繕費に当てようと考える人も多いことでしょう。
 ただ、この修繕にかかる出費を必要経費と考えて、あまり計画を立てずに使ってしまうことはおすすめしません。築年数の経った戸建ての修繕は規模が大きく、費用も高額になりがち。住宅ローンの残額にもよりますが、場合によっては家を手放した方が経済的にメリットがあるかもしれません。早めに費用を確認されるといいと思います。

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井戸 美枝

いど みえ

CFP®、社会保険労務士。神戸市生まれ。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。社会保障審議会企業年金部会委員。確定拠出年金運用に関する専門委員会委員。経済エッセイストとして活動し、人生の神髄はシンプルライフにあると信じる。

近著に『ズボラの人のための確定拠出年金入門』(プレジデント社)『定年男子定年女子』(日経BP社)『身近な人が元気なうちに話しておきたいお金のこと介護のこと』(東洋経済新報社)などがある。


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