岐阜県美濃市【美濃和紙と長良川が育む伝統工芸】昔ながらの製法を今に伝える、美濃和紙の里を訪ねる《連載その③》
長良川に育まれた伝統工芸が時代を超えて輝きを取り戻す
清流・長良川の流域には、古くから独自の文化が育まれてきた。
「美濃和紙」とそれを使った伝統工芸も、長良川から恩恵を受け発展してきた歴史がある。
日本のものづくりの原点として、今も人々の心を潤している。
今も連綿と昔ながらの製法を伝えている、和紙職人の元を訪ね、その「匠」の技を見せてもらうことにした。
■75年のキャリアが生みだす絶品の「本美濃紙」
「美濃地方で紙がすかれたのは、板取川(長良川支流)の流れと豊富な湧水に恵まれていたから。清らかな水があってこそ、白くて均一な紙がすけるのです」
そう語るのは、本美濃紙保存会名誉会長の澤村正さん。国の重要無形文化財にも指定されている本美濃紙の伝承者の一人だ。
美濃市蕨生(わらび)の工房で、澤村正さんは今も現役で紙をすき続ける。御年90歳。紙すきを始めたのは15歳の時というから、そのキャリアはじつに75年になる。
熟練した匠の技だ。「縦ゆり」に「横ゆり(左右方向に用具を動かしてすく)」を加えることで繊維がむらなく整然と広がり、美しくすき上がる。
ため息が出るほど美しい本美濃紙が出来上がった。
NIPPONIA美濃商家町 「NIPPONIA美濃商家町」は、美濃の歴史や暮らしを凝縮した 宿泊施設とショップの複合施設。 紙商・松久才治郎の邸宅を改修し、 紙商の賓客として招かれたかのような体験ができる。
(連載その④へ続く)
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美濃手すき和紙は岐阜県が世界に誇る伝統工芸であり、宝物です
岐阜県知事・古田肇
美濃手すき和紙は、薄いながらも強く、美しい紙で、1300年以上の歴史があります。その最高峰である本美濃紙の製作技術は、地域に生きる人々の手で大切に受け継がれ、2014年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。
そして、来年開かれる東京オリンピック・パラリンピックでは、入賞者に贈られる全ての表彰状に美濃手すき和紙が採用され、オリンピアン・パラリンピアンの手を通じ、世界各国に渡り、伝えられていくことになります。
まさに、美濃手すき和紙は岐阜県が世界に誇る伝統工芸であり、宝物です。
そして、長良川流域には、今回紹介されている郡上本染や岐阜和傘の他にも関の刃物、鵜飼など先人の手で受け継がれてきた伝統が息づいており、次世代を担う若い職人が、新しい発想も取り入れながら伝統を未来へとつなげていこうと奮闘しています。
皆さんも是非、職人の技が息づく岐阜県を体感してみませんか。