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「どうすれば風俗で働かないで済むか」の間違い

「セックスワークサミット2017秋」レポート 後編

●「あなたのためだから」という押し売りをしない

 性を学ぶということは、命を学ぶ、生きることを学ぶということにつながっていると思います。具体的な知識や学びを共有していくことは大事ですが、学校では全く教えてくれない。DV防止にもつながると思うのですが、お互いの身体や心を尊重すること、きちんと避妊をすることなどを当たり前に教育の場で学んでいく。そこから性に対する危険を防ぐバリアが高まっていくかと思います。

 そうした学びを得ていくことと同時に、困った時にいつでも相談できる仕組みの両輪が必要だと思います。危険に巻き込まれないための知識を小さい時から身につけていくと同時に、性被害を受けた時に、これはすぐに助けてと言える、相談できる仕組みが必要だと思います。

 性風俗で働かざるを得ない方の背景には、貧困問題が切っても切り離せない。やめたいけどやめられないと思っている方もいる。そういう時に適切な支援を提供できるだけのベースが伴わないと、「危険だからやめなさい」「はい、やめます」ということにはならないと思います。

 全ての支援の中で、私たちが大事にしていきたいことは、困難な状況にある方が他者や社会への信頼を育んでいけるようになることだと思います。困った時に自分で抱え込まずに、声を上げていいんだ、誰かを頼ってもいいんだという気持ちを育んでいくこと。そして、それを受け止められる社会の仕組みが必要だと思います。

 そのためにわたしたちが大切にしていることは、「あなたのためだから」といった押し売りをしないこと。自分が正しいと思っていることが、相手にとって正しいかどうかは分からないし、私たちが想像を絶するような困難な状況の中で生きてきた方がほとんどなので、単純に風俗がダメだ、ではなくて、今この仕事をやりながら、少しずつ力をつけて、学んだり新しい仕事に就くためにはどうずればいいかを一緒に考えていけること。具体的な支援を提供していけること。そういったことを大切にしていきたいと考えています。

 何度でも失敗を繰り返して大丈夫。失敗や立ち止まることを繰り返しながら、一緒に何とか乗り越えていこう、という思いを大事にしています。

 あとは深刻になりすぎない。明るさやユーモアを大事にしながらやっています。

 一番大事なのは、私たち支援者が元気であり、健やかであることだと思います。それなくしては、彼女たちと一緒に考えたり悩んだりができないので、まず自分たちが健やかであること、色々な支援機関とつながって孤立しないことを大事にしてやっていきたいと思います。

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「セックスワーク・サミット2017冬 「つながる風俗女子」+シンポジウム「みんなでつくる『適正風俗』」(主催:一般社団法人ホワイトハンズ)が、2017年12月3日(日)に、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催されます。

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坂爪 真吾

さかつめ しんご

1981年新潟市生まれ。一般社団法人ホワイトハンズ代表理事。東京大学文学部卒。



新しい「性の公共」をつくる、という理念の下、重度身体障害者に対する射精介助サービス、風俗店の待機部屋での無料生活・法律相談事業「風テラス」など、社会的な切り口で、現代の性問題の解決に取り組んでいる。2014年社会貢献者表彰、2015年新潟人間力大賞グランプリ受賞。著書に『セックスと障害者』(イースト新書)、『性風俗のいびつな現場』(ちくま新書)、『はじめての不倫学』(光文社新書)などがある。


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