岐阜県郡上市【美濃和紙と長良川が育む伝統工芸】昔ながらの製法を今に伝える、美濃和紙の里を訪ねる《連載その④》
長良川に育まれた伝統工芸が時代を超えて輝きを取り戻す
清流・長良川の流域には、古くから独自の文化が育まれてきた。
「美濃和紙」とそれを使った伝統工芸も、長良川から恩恵を受け発展してきた歴史がある。
日本のものづくりの原点として、今も人々の心を潤している。
今も連綿と昔ながらの製法を伝えている、職人の元を訪ね、その「匠」の技を見せてもらうことにした。
■郡上の冬の風物詩は「鯉のぼり寒ざらし」
美濃和紙は長良川の水運を利用して下流へと運ばれた。
現在の岐阜市湊町は、その名の通り長良川水運の港として物資が集積する流通拠点だった。美濃からは美濃和紙が、郡上(ぐじょう)からは杉などの良質な木材が運ばれてきた。
江戸時代以降、当地では美濃和紙や周辺で取れる竹を用いた岐阜ならではの和傘、提灯、団扇といった工芸品が生み出され、長良川の水運を利用して江戸や京都など一大消費地へと送り届けられていった。
そして今も、こうした工芸品の伝統を受け継ぐ職人たちがいる。
幸草紙工房 「美濃手すき和紙は折れや曲げに強いのが特徴です」と 和紙の製作を担当した加納武さん。 (幸草紙工房 電話/0575-35-2346) 薄くて丈夫な薄美濃紙を得意とし、 日本画用紙、提灯の紙など用途に合わせた紙すきに挑戦している。
(連載その⑤へ続く)
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美濃手すき和紙は岐阜県が世界に誇る伝統工芸であり、宝物です
岐阜県知事・古田肇
美濃手すき和紙は、薄いながらも強く、美しい紙で、1300年以上の歴史があります。その最高峰である本美濃紙の製作技術は、地域に生きる人々の手で大切に受け継がれ、2014年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。
そして、来年開かれる東京オリンピック・パラリンピックでは、入賞者に贈られる全ての表彰状に美濃手すき和紙が採用され、オリンピアン・パラリンピアンの手を通じ、世界各国に渡り、伝えられていくことになります。
まさに、美濃手すき和紙は岐阜県が世界に誇る伝統工芸であり、宝物です。
そして、長良川流域には、今回紹介されている郡上本染や岐阜和傘の他にも関の刃物、鵜飼など先人の手で受け継がれてきた伝統が息づいており、次世代を担う若い職人が、新しい発想も取り入れながら伝統を未来へとつなげていこうと奮闘しています。
皆さんも是非、職人の技が息づく岐阜県を体感してみませんか。