天に添って 上から下へさらさらと流れる水のように生きよう
定本「老子道徳経」の読み方 早島天來編より 人生を最高に生きる老子の言葉 第二十三回
上善は水の若し
★水のように生きる
私たちは、一歩外へ出れば、つねに戦いが待っています。出世競争、成績の競争、権利を争う競争、などなど。そして子供のころから、人より良い成績を取れば優秀で、社会に出れば、出世した人が偉い、と当然のように考えてきました。しかし、世界の名著、古代中国に生まれた『老子道徳経』では、そんな無益な競争はやめて、さらさらと重力の法則にそって、抵抗することなく流れゆく水に、本当の生き方を学びなさい、と教えています。
確かに水は高いところから、低いところへと、逆流することなく流れ、やがてその長い旅を終えて大きな海に流れ込みます。最も低いところにある海は、たくさんの川の水を飲み込んで、静かにたたずみ、多くの生命を育んで、自らを誇ることなどありません。嵐となれば、大波が岸辺を削り取りますが、また天気になれば、何もなかったかのように静かにそこにあります。
静かに寄せては返す波の音を聞いているだけでも、心が癒やされ、デジタル化した社会で疲労した脳が、生き生きとよみがえります。この海が私たちに与えてくれるエネルギーは何なのでしょうか? これこそが天地自然の流れのままに生かされる「気」のエネルギーなのです。
古代中国の人達は、この「気」というエネルギーを発見し、研究しました。そして、私たち人間にも、この「気」というエネルギーが体内に流れており、天地自然の強の気の流れに対抗することなく、その流れに沿った生き方をみつけ、実践して行くことが、健康と元気の基本であり、また幸せに豊かに生きられる道だと気づいたのです。
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