酒を満たした杯は、いつまでも手に持っていればこぼれる。
定本「老子道徳経」の読み方 早島天來編より 人生を最高に生きる老子の言葉 第二十六回
老子九章
持して之を盈(み)たさんとするは、其の已(や)むに如(し)かず。
持して之を盈(み)たさんとするは、其の已(や)むに如(し)かず。
★欲望を握らない生き方
今月の老子の言葉は、第九章「酒を満たした杯は、いつまでも手に持っていればこぼれる」です。この意味は、酒が7割くらい入った杯ならば、持っていてもこぼれないけれど、酒を満たした杯は、保つことが難しく、すぐこぼれてしまいます。
つまり、この酒を財産、地位に置き換えて考えればよくわかります。杯の大きさは人により違いはありますが、めいっぱい その杯を満たしたら、いつまでもそれを握っていないことなのです。財産も地位も、また手放して、次の代に引き継ぐ循環が大切なのです。つまり老子は、欲望を限り無くエスカレートさせて、いつまでも執着しては危ういということを説いているのです。
大きなものを手にしても、握らない生き方。つまりある地位を得たら、また次の人に其の座を譲る時を逃さないことです。これがなかなか出来ない人が多いのです。心にとめておきましょう。
- 1
- 2