道を会得した人は、微妙玄通のような人
定本「老子道徳経」の読み方 早島天來編より 人生を最高に生きる老子の言葉 第二十七回
第一部 十五章
古(いにしえ)の善く士たる者は微妙玄通(びみょうげんつう)、深くして識(し)るべからず。
古(いにしえ)の善く士たる者は微妙玄通(びみょうげんつう)、深くして識(し)るべからず。
★微妙玄通の政治
今月の老子の言葉は、第十五章です。古代中国に生まれた哲学書『老子道徳経』には、人生を最高に生きるための秘訣がたくさん説かれています。その中で第十五章には、人の道、天の道すべてに通じた「微妙玄通」な人生の達人について説かれているのです。
ではこの「微妙玄通」の人とは、どんな人でしょうか。それは、慎重なことは、冬の川を渡るようであり、また四方を強国に囲まれた弱国のようである。かと思うと招待された客のように重厚であり、物に執着しない心は氷が溶けてゆくようなのです。そして作為のないという視点では、原木のように素朴で、かつ広々とした谷のように、すべてを包み込む広さを持っている、というのです。
ですから、一見、混沌として濁った水のようにも見えるが、時間の経過とともに、濁った水が澄んでゆくように、この世の乱れを治めてしまう。そして誰でも安んじて暮らせる世の中にする。というのです。まさに今の政治に求められている、天の道といえるのではないでしょうか。
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