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誤解するべからず。北朝鮮は「反中国」だ

北朝鮮封じ込めの命中対策は誤りだ。 シリーズ!脱中国を図る北朝鮮①

なぜ、北朝鮮は日本に対して、威嚇行動をとり続けているのか? そもそも北朝鮮はなぜ、この様な国家になったのか? 中ロ情勢に精通する歴史家、田中健之氏が「周辺」から北朝鮮の本質を考察していく。新刊『北朝鮮の終幕』より10回にわたってお届けしたい。〈シリーズ!脱中国を図る北朝鮮①〉

中国に期待するアメリカの迷妄

火星14発射を記念する切手

 2017(平成29)年9月3日正午過ぎ、朝鮮民主主義人民共和国(以下=北朝鮮)は、6度目の核実験を断行しました。この核実験は、水爆実験だったとも言われ、実に120キロトン、つまり広島の17倍以上の破壊力もある過去最大規模の爆発力を示しました。

 核実験が行われたのは丁度、中国が福建省のアモイで新興五カ国(BRICS)の首脳会議開幕直前のタイミングで行われたものでした。この核実験に対して中国政府は、「国際社会の反対を顧みず、再び核実験を実施した。中国政府は断固たる反対と強烈な非難を表明する」と異例の速さで、強い文言にて北朝鮮を批判しました。この6度目の核実験によって、中国と北朝鮮との関係は、ますます悪化したと思われます。

 これに先立つ8月29日、北朝鮮は中距離弾道ミサイル火星12 を、日本の北海道上空を通過する軌道で発射しています。これはグアム島や在日アメリカ軍など、アメリカの太平洋上の軍事拠点に対して、北朝鮮が充分に核攻撃の出来る軍事力を示すために、行った演習に他なりません。こうして北朝鮮は、アメリカとその関係国に強烈なメッセージを送ったのです。

 アメリカは、核開発と大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発、それに伴う核実験とミサイル発射を阻止するために、中国に対して北朝鮮に圧力をかけるように再三、強く申し入れをしてきました。

 

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田中 健之

たなか たけゆき

 昭和38(1963)年、福岡市出身。歴史家。日露善隣協会々長。拓殖大学日本文化研究所附属近現代研究センター客員研究員を経て、現在、岐阜女子大学南アジア研究センター特別研究員、ロシア科学アカデミー東洋学研究所客員研究員、モスクワ市立教育大学外国語学部日本語学科客員研究員。 昭和58(1983)年に中国反体制組織『中国の春』の設立に関与し、平成元(1989)年6月4日に生じた天安門事件を支援、亡命者を庇護すると共に、中国民主運動家をはじめチベット、南モンゴル、ウイグルの民族独立革命家と長期にわたって交流を重ねている。 平成3(1991)年、ソ連崩壊と共にモスクワに渡り、ロシア各界に独自の人脈を築く。 一方、幼少より玄洋社、黒龍会の思想と行動に興味を抱き、長年、孫文の中華革命史およびアジア独立革命史上における玄洋社、黒龍会の歴史的、思想的な研究に従事、それに基づく独自の視点で、近現代史、思想史を論じている。 玄洋社初代社長平岡浩太郎の曾孫に当たり、黒龍会の内田良平の血脈道統を継ぐ親族。 著書に『昭和維新』(学研プラス)、『靖国に祀られざる人々』(学研パブリッシング)、『横浜中華街』(中央公論新社)、『実は日本人が大好きなロシア人』(宝島社)その他、共著、編著、雑誌など多数。



 


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