夫が連れ込んだ芸者にお土産を渡す、偉人の妻の強靭なメンタル
激動の時代を生きた志士、その妻と恋人②
幕末と現代を隔てるのは、約150年という時間だ。タテマエにせよ男女同権が守られる現代と、そうではなかった幕末とでは「女性の人生」は大きく違う。これは動乱の幕末を、与えられた環境と条件のもとに生き抜いた美女たちの「肖像」である。今回紹介するのは、伊藤博文の妻。
◆大恋愛を実らせ結婚するも波乱づくめの「女の一生」
明治の良妻賢母といえばこの人、という女性が伊藤梅子である。後に夫となる伊藤博文と出会いは慶応元年(1865)。下関の亀山八幡宮境内の茶屋で働く梅子はある晩、何者かに追われる若い男を誰とも知らずに匿った。その男こそ後の伊藤博文である。二人は強く惹かれ合った。しかし伊藤は既婚者であり、すみ子という妻がいた。すみ子は伊藤の盟友の妹で、伊藤の両親からも気に入られていた。
さらに不幸は続く。実家の都合で芸者にされることになった梅子は、置屋に引き取られる。離れてしまった伊藤と手紙のやり取りをしたいがために梅子は文字を習い、彼らの愛は文通で深まった。
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