はっきり言って、日本人は、日本の学校は、人間の性的問題を舐めている!(藤森かよこ【馬鹿ブス貧乏】⑱)
セックスについて [苦闘青春期(37歳まで)]
「誰も本当のことを言わないから、ブスで馬鹿な私が本当のことを言う!」と元祖リバータリアン(超個人主義的自由主義)でアイン・ランド研究の第一人者である作家・藤森かよこ氏がペンで立ち上がった。
氏のものした『『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』(KKベストセラーズ)は4刷を超え(以下、「馬鹿ブス貧乏」と表記)、多くの女性を勇気づけた「革命の書」である。アラフォー読者からの要請が殺到。今月21日より、第2弾『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つ ろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。』が出版される。
そこで、今回、藤森氏のご厚意に預かり『馬鹿ブス貧乏』の長いまえがきから第1章まで再構成し、「若いほど」役立つと低スペック女子が37歳までにやるべき本当のことを転連載で教えてくれる。まさに「馬鹿ブス貧乏」で生きるしかない女性が最高に幸せになる本当のサバイバル術である!
■強姦され妊娠した場合の対処
万が一、強姦された場合は、すぐに警察に行くこと。次に72時間以内に産婦人科クリニックに行き緊急避妊用ピル(アフターピル)の処方を依頼しよう。これは金額で6,500円から15,000円くらいまである。副作用はほとんどない。いいですか、72時間以内です。たらたらしていてはいけない。
強姦後の緊急避妊薬投薬には公費援助もあるが、警察に申請しないと援助金は出ない。産婦人科医には強姦された旨の診断書も書いてもらおう。警察に訴える場合に必要になる。
産婦人科クリニックの医師やスタッフは、あなたに対して温かい態度はとらないかもしれない。でも、望まぬ妊娠をして中絶するよりは、はるかにましだ。アフターピルはインターネット通販でも入手できるが、ただのサプリメントを送ってくる詐欺である可能性もある。医師に依頼するほうが安心で確実だ。
強姦されたのに、アフターピルを求めず望まぬ妊娠をしてしまったら、妊娠中絶をするしかない。妊娠中絶は妊娠してから21週6日までならできる。ただし、妊娠中絶手術は国民健康保険適用外だ。費用は10万円から20万円はかかる。
妊娠12週以内ならば、静脈麻酔で子宮の内容物を除去できる。通常は15分程度の手術で済み、無痛であり出血も少なく、入院の必要はなく日帰りできる。
人工流産を引き起こす内服薬もすでに開発されているが、日本とポーランドとアイルランドでは認可されていない。ポーランドやアイルランドのことは知らないが、日本の医療界は女性を守ることに関しては非常に消極的であるようだ。内服薬で中絶できると、産婦人科医の収入が減るから、日本では認可されないという説がある。それぐらいに、妊娠中絶手術は産婦人科医にとっていい収入になってきた。
内服薬によらない妊娠中絶手術である子宮内容物除去法があり、これには吸引法と掻爬(そうは)法がある。どちらも、内服薬での人工流産の方法に比較すると、子宮穿孔(せんこう)が起きやすい。子宮に穴が開いてしまうのだ。出血などの合併症リスクも高い。
吸引法は子宮の内容物を器械で吸い出す。掻爬法は子宮の内容物をかき出す。どちらが新しい方法で安全かといえば、明らかに吸引法だ。だから、世界保健機構は吸引法を推奨している。
しかし、日本ではいまだに掻爬法で中絶をしている産婦人科医が多い。だから、産婦人科医は選ばなくてはならない。吸引法を実施し、かつ母体保護法指定医である医師に依頼すること。
妊娠12週から22週未満の時期だと、ややこしくなる。あらかじめ子宮口を開く処置をした後に、子宮収縮剤で人工的に陣痛を起こして流産させる。数日の入院が必要となる。これは死産扱いになり、役所に死亡届を出し、胎児の埋葬許可書発行が必要になる。
こういう重要なことは日本の学校では教えないようだ。性教育が非常に遅れている。実質的リスクや具体的な対処法をいっさい教えない。
はっきり言って、日本人は、日本の学校は、人間の性的問題を舐めている。現実から目を逸らした教育など無用だ。国費でドイツに留学した医学者が留学先でドイツ娘を誘惑してどうのこうのというくだらない恋愛などをテーマにした小説を国語の時間に読ませるくせに、肝心要の知識については教えない。
私自身は、若い頃に自分で調べて、女性に対する性犯罪の野放し状態や、妊娠中絶の実態や公的支援の少なさについて知った。この世界で女性に生まれることは常に危険にさらされることと同義であると知った。そのときのショックがあまりに大きかったのか、私は男性に関与することに非常に消極的になった。
私が結婚後も妊娠しなかったのは、66歳になるまで産婦人科医のお世話になったことがないのは、あのときのショックがよほど大きかったからに違いない。
話を戻す。あなたが、妊娠中絶することに対して罪の意識をもつことは理解できる。しかし、まだ生まれていない子どもより、今を生きているあなたのほうが大事だ。以後は、妊娠中絶を繰り返さないように注意するしかない。
2019年6月現在において、アメリカのアラバマ州でもミズーリ州でもルイジアナ州でも、妊娠第6週以降の胎児を中絶することは違法とする条例が議会を通過した。妊娠の原因が強姦や近親相姦でさえも。
1972年までアメリカでは妊娠中絶は違法だったが、女性の自己決定権を尊重するということで、合法化された。しかしこの決定に反対するキリスト教原理主義などの宗教的勢力はいまだに強力だ。共和党の大きな票田でもある。
世界中で台頭するイスラム教徒や、中絶を禁止するカトリック教徒が圧倒的なヒスパニック系移民の女性たちはどんどん子どもを産む。しかし、教育を受けて自分の人生を考えるようになった先進国の女性はむやみやたらと子どもを産まなくなっている。
識字能力と計算能力を身につけると、女性は避妊するようになり人口が減るから、中東世界の近代化と安定のためには、イスラム教徒の女性が教育を受けることが必要だと言ったのは、フランスの歴史・人口学者で家族人類学者のエマニュエル・トッドだった。『帝国以後︱アメリカ・システムの崩壊』(石崎晴己訳、藤原書店、2003年)を読んでください。
しかし、このまま行けば、アメリカ合衆国のヨーロッパ系白人は少数派になり、前近代のイスラム勢力に世界が覆われるかもしれないという恐怖感から、アメリカ南部諸州における妊娠中絶禁止法は議会を通過したのかもしれない。
ミズーリ州の妊娠中絶禁止の条例化には女性の下院議員や知事が一役(ひとやく)買った。女性だからといって、女性の性の自己決定権を支持するとは限らない。
アメリカの場合は、養子斡旋(あっせん)システムが発達している。望まぬ妊娠の末に生まれた子どもも比較的容易に里親を見つけることができる。強姦や近親相姦の結果としての妊娠でも中絶することが禁止されるのは、そのような条件でも生まれた子どもが育てられる養子制度が機能しているからだ。
日本でも、養子斡旋システムはじょじょに整備されつつあるようだが、血縁信仰の強い日本社会では、まだまだ問題が多い。
だから、あなたが、いくら馬鹿でも、強姦と強姦による望まぬ妊娠は極力回避しよう。
女の人生は、このような危機に満ち満ちている。だから女は鍛えられる。日本のような社会で生まれ育つと頭が悪くなりやすいが、それでも女性のほうが男性よりは本格的馬鹿が少ないように見受けられる。
それは、やはり女性の人生のほうが厳しいからだ。特にブスで馬鹿で貧乏な女性の人生は、大らかに馬鹿やっていられないほどに厳しい。いやおうもなく鍛えられる。おめでとう。
KEYWORDS:
年末年始「最大」の問題作
低スペック女子(馬鹿ブス貧乏)
「ホンネ」の生き残り術第2弾‼️
藤森かよこ・著
『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つ ろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。』
12月21日より全国書店・アマゾンほかにて発売‼️