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北・ナンバー2が宣言した「金正恩体制」

金正男という最後のカード シリーズ!脱中国を図る北朝鮮⑥

なぜ、北朝鮮は日本に対して、威嚇行動をとり続けているのか? そもそも北朝鮮はなぜ、この様な国家になったのか? 中ロ情勢に精通する歴史家、田中健之氏が「周辺」から北朝鮮の本質を考察していく。新刊『北朝鮮の終幕』より10回にわたってお届けしたい。〈シリーズ!脱中国を図る北朝鮮⑥〉

粛清にはじまり戦争に終わるのが金正恩政権

 金正恩は、張成沢と金正男氏の中国を背景とする派閥に繋がる側近や同志た
ちを根こそぎ葬らなくては、金正恩体制は成立し得ませんでした。

 金正恩が権力を継承して間もない、2012年10月12日、『最後の勝利をめざして』と表題が付けられた金正恩の著作集を発表、この中に所収されている「革命家の遺児は万景台の血統、白頭の血統をしっかり継いでいく先軍革命の頼もしい根幹となるべきである」と題する書簡をこの中で次のように述べています。

「革命家の血を引いているからといって、その子がおのずと革命家になるわけ
ではありません。偉大な大元帥たちが述べているように、人の血は遺伝しても
思想は遺伝しません。革命思想は、ただ絶え間ない思想教育と実際の闘争を通じてのみ信念となり、闘争の指針となり得るのです」
(『最後の勝利をめざして』金正恩著、平壌・外国文出版社)

 同氏が言う、実際の闘争とはまさに、国内的には権力維持のための粛清であ
り、対外的には韓国の解放統一、南の政権を支えるいわゆる彼らの言葉でいう
ところの、米日帝国主義勢力の打倒、駆逐を意味しているのであります。粛清にはじまり戦争に終わるのが金正恩政権です。彼はその勝利を固く信じています。

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田中 健之

たなか たけゆき

 昭和38(1963)年、福岡市出身。歴史家。日露善隣協会々長。拓殖大学日本文化研究所附属近現代研究センター客員研究員を経て、現在、岐阜女子大学南アジア研究センター特別研究員、ロシア科学アカデミー東洋学研究所客員研究員、モスクワ市立教育大学外国語学部日本語学科客員研究員。 昭和58(1983)年に中国反体制組織『中国の春』の設立に関与し、平成元(1989)年6月4日に生じた天安門事件を支援、亡命者を庇護すると共に、中国民主運動家をはじめチベット、南モンゴル、ウイグルの民族独立革命家と長期にわたって交流を重ねている。 平成3(1991)年、ソ連崩壊と共にモスクワに渡り、ロシア各界に独自の人脈を築く。 一方、幼少より玄洋社、黒龍会の思想と行動に興味を抱き、長年、孫文の中華革命史およびアジア独立革命史上における玄洋社、黒龍会の歴史的、思想的な研究に従事、それに基づく独自の視点で、近現代史、思想史を論じている。 玄洋社初代社長平岡浩太郎の曾孫に当たり、黒龍会の内田良平の血脈道統を継ぐ親族。 著書に『昭和維新』(学研プラス)、『靖国に祀られざる人々』(学研パブリッシング)、『横浜中華街』(中央公論新社)、『実は日本人が大好きなロシア人』(宝島社)その他、共著、編著、雑誌など多数。



 


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