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北・ナンバー2が宣言した「金正恩体制」

金正男という最後のカード シリーズ!脱中国を図る北朝鮮⑥

金永南の言葉の意味

ナンバー2、金永南

 中央報告会の席上、北朝鮮のナンバー2である金永南最高人民会議常任委員会委員長が、「金日成主席が切り開いた白頭の革命偉業は金正日総書記によって力強く前進してきたし、こんにち、最高指導者金正恩委員長の指導の下で新たな歴史的転換期を迎えている」と演説しています。

 北朝鮮のナンバー2によるこの発言は、様々な権力闘争の結果、金正恩体制の確立を宣言したものだといえます。

 金正恩は、張成沢と金正男氏という中国派の一族を粛清することで、北朝鮮における最高権力者としての地位を不動ならしめ、ここに金正日国防委員長亡き後、約5年半に及ぶ北朝鮮の権力闘争が終結したのです。

 その権力闘争終結宣言こそが、中央報告会における金永南氏の発言でした。ちなみにこの日、「軍事パレード」と「中央報告大会」の二つの行事に参加した金正恩は、いつもの中山服ではなく、スーツ姿で出席し、胸には金日成と金正日の二人の肖像が描かれたバッチがないのが印象的でした。これは金正恩体制が、完全に金日成・金正日体制から移行したことを如実に物語っています。

(『北朝鮮の終幕』より構成)

〈シリーズ!脱中国を図る北朝鮮⑦は2日後に配信します。〉

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田中 健之

たなか たけゆき

 昭和38(1963)年、福岡市出身。歴史家。日露善隣協会々長。拓殖大学日本文化研究所附属近現代研究センター客員研究員を経て、現在、岐阜女子大学南アジア研究センター特別研究員、ロシア科学アカデミー東洋学研究所客員研究員、モスクワ市立教育大学外国語学部日本語学科客員研究員。 昭和58(1983)年に中国反体制組織『中国の春』の設立に関与し、平成元(1989)年6月4日に生じた天安門事件を支援、亡命者を庇護すると共に、中国民主運動家をはじめチベット、南モンゴル、ウイグルの民族独立革命家と長期にわたって交流を重ねている。 平成3(1991)年、ソ連崩壊と共にモスクワに渡り、ロシア各界に独自の人脈を築く。 一方、幼少より玄洋社、黒龍会の思想と行動に興味を抱き、長年、孫文の中華革命史およびアジア独立革命史上における玄洋社、黒龍会の歴史的、思想的な研究に従事、それに基づく独自の視点で、近現代史、思想史を論じている。 玄洋社初代社長平岡浩太郎の曾孫に当たり、黒龍会の内田良平の血脈道統を継ぐ親族。 著書に『昭和維新』(学研プラス)、『靖国に祀られざる人々』(学研パブリッシング)、『横浜中華街』(中央公論新社)、『実は日本人が大好きなロシア人』(宝島社)その他、共著、編著、雑誌など多数。



 


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