《今日はニャンの日》「だから国家はウソをつく」の系譜——しれっとデタラメの大本営発表【79年前の今日、12月8日は真珠湾攻撃】
平民ジャパン「今日は何の日」:10ニャンめ
79年前の今日は1941年12月8日(米国時間12月7日)は日米開戦の火蓋を切った真珠湾攻撃の日。ラジオから聞こえる「大本営発表!」の高らかな国威発揚の声が戦局の悪化でウソとデタラメに次第に染まりながら帝国国民は、3年9カ月後に310万人も殺されてしまうという顛末になることになるのだ。
ジャパンって本当に救われないのだニャン。
■デタラメの拡声器に騙されつつ「ノル」日本国民
1941(昭和16)年12月8日(現地時間7日)、日本は真珠湾攻撃とマレー作戦等の同時多発奇襲攻撃によってアメリカの参戦スイッチを起動した。3年9か月後には本土決戦を断念、無条件降伏により国家主権を失い、アメリカへの永続的従属が決定した。東西、南北の分断は免れたが、他の敗戦国にまさる重荷を十字架として永遠に(少なくとも次の戦争まで)背負う日本人の運命もここで確定した。よくぞやってくれた、大本営(陸海軍最高指導部)。
そして、この日は、日中戦争初期(1937年)から粛々と行われてきた「大本営発表」が、真珠湾攻撃とともに華々しくメジャーデビューした日でもあった。今日に至るまで平民ジャパンを欺き、ミスリードを続けるデタラメの拡声器、時として情報にフタをし、スルーする消音器が、ここに生まれた。
以来、この国では、有事に際しては大本営発表が作動する。
そのスタイルは多様化したが、本質は変わらない。平時から統計発表や世論調査結果によって、せっせと刷り込みが行われる。何か起きれば、まず沈黙、そして公式発表で逃げる。しかし、政治家が見せかけの作業服を着て出てきたときは、間違いなく大本営発表をやっていることを、平民ジャパンは知っている。
坊主頭の陸軍報道部長の、緊張でひっくり返る甲高い声は、記録映像として繰り返し再生され、開戦の象徴として、いまも日本人の集団的記憶に残る。声に出して読みたい日本語だ。
「大本営陸海軍部発表。12月8日6時。帝国陸海軍は、本8日未明、西太平洋において、米英軍と戦闘状態に入れり」
大勝利の報告にメディアと国民は湧いたが、これは未曽有の負け戦の始まりだった。大本営発表は、やった!やった!日本スゴイの原型となった。
それもつかの間、わずか4か月後には東京はじめ主要都市が試験的に爆撃され、半年後には太平洋のど真ん中で虎の子空母4隻が艦載機ごと沈められた。
熟練飛行士は飛行機と一緒に次々と墜とされた。戦局は垂直的悪化に転じ、犠牲者の数は尻上がりに増えた。
悪いニュースはカットされ、誇張、演出、改ざん、隠蔽、デタラメな日本ダイジョブの虚偽報告が常態化した。
敵を侮り、嘲ることで自らを上げるゲスな手法も常套手段となった。
数字を使って客観性を装った。
修飾語を多用して事実を歪めた。
敵艦撃沈、大破、炎上を過大申告、我が方損害は過少報告した。
自画自賛を繰り返し、自己陶酔した。根拠の無い楽観と情報軽視に拍車がかかった。
言葉の発明が行われ、放棄・撤退を転進と言い換え、全滅を玉砕と美化した。
もはや、やっている本人たちも何が現実で何が虚構か、わからなくなっていった。
誤った発表が、誤った作戦を呼ぶ悪循環に陥った。
おかしい、信じられないと思う国民も多くいただろう。
第840回目、事実上の最後の大本営発表はポツダム宣言受諾の8月14日「鹿島灘東方二十五海里において(中略)航空母艦および巡洋艦各一隻を大破炎上せしめた」ことになっている。
大本営発表によれば、日本軍が沈めた連合軍の戦艦は合計43隻(実際は4隻)、空母は84隻(実際は11隻)と、戦果は10倍以上水増しされていた。
翌15日、天皇による玉音放送が発せられ、その後、大本営発表は「連合軍による占領に関するお知らせ」を6回やって、終了した。
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