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北・核とミサイルの第一標的は「北京」説

中国によって北朝鮮の工作員が大量逮捕!? シリーズ!脱中国を図る北朝鮮⑩

なぜ、北朝鮮は日本に対して、威嚇行動をとり続けているのか? そもそも北朝鮮はなぜ、この様な国家になったのか? 中ロ情勢に精通する歴史家、田中健之氏が「周辺」から北朝鮮の本質を考察していく。新刊『北朝鮮の終幕』より10回にわたってお届けしたい。〈シリーズ!脱中国を図る北朝鮮⑩〉

北朝鮮は、依然として工作組や国家保衛部の防諜要員の中国派遣をさらに増やしている

 

 今でも北朝鮮は、依然として工作組や国家保衛部の防諜要員の中国派遣をさらに増やしているのが実情です。

 台湾との関係も国交規模ではないものの、内容は高いレベルで、2001年末には、「朝鮮台湾親善協会」が結成されるに至りました。

 2002年2月16日、金正日の誕生日の贈り物として、平壌市民に無料供給した下着らは、まさに「朝鮮台湾親善協会」が平壌に事務室を開く条件として提供した、対北支援名目の物資だったのです。

 外形上は企業家たちで構成された「朝鮮台湾親善協会」ですが、それは万景台
区域ハゴル洞に位置しており、その管理は朝鮮人民軍総政治局の五四部が担当
しています。

 五四部は、その対外的名称を「朝鮮勝利貿易会社」と偽装しており、それは張
承吉少将が主導する金正日の軍における政治資金調達部署です。

 金正日は、対中依存度を減らすために、2002年の初め、北朝鮮の全ての
会社が貿易取り引きを中国からロシアに変えるように命令を出しました。とこ
ろが貿易秩序の混乱が、そのまま社会秩序に及ぶと三カ月も経たずに、その取
り消しの命令を下しました。

 結局、金正日は中国政府からまた憎まれ、北朝鮮の内部からは、彼の指導力
に対する疑いのみを増幅させてしまったのです。

 このように、アメリカや韓国よりも中国をより威嚇的な存在として、金正日
氏が意識する理由は、同じ社会主義でありながら中国が改革開放の成功モデル
だからです。

 300万人を餓死させた金正日の閉鎖的な政治と発展し続ける隣国の中国を
見ながら、北朝鮮の国民たちは、はじめて自分達と比較する意識を持ちました
。(『統一日報』web版2011年9月22日参照)

 
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田中 健之

たなか たけゆき

 昭和38(1963)年、福岡市出身。歴史家。日露善隣協会々長。拓殖大学日本文化研究所附属近現代研究センター客員研究員を経て、現在、岐阜女子大学南アジア研究センター特別研究員、ロシア科学アカデミー東洋学研究所客員研究員、モスクワ市立教育大学外国語学部日本語学科客員研究員。 昭和58(1983)年に中国反体制組織『中国の春』の設立に関与し、平成元(1989)年6月4日に生じた天安門事件を支援、亡命者を庇護すると共に、中国民主運動家をはじめチベット、南モンゴル、ウイグルの民族独立革命家と長期にわたって交流を重ねている。 平成3(1991)年、ソ連崩壊と共にモスクワに渡り、ロシア各界に独自の人脈を築く。 一方、幼少より玄洋社、黒龍会の思想と行動に興味を抱き、長年、孫文の中華革命史およびアジア独立革命史上における玄洋社、黒龍会の歴史的、思想的な研究に従事、それに基づく独自の視点で、近現代史、思想史を論じている。 玄洋社初代社長平岡浩太郎の曾孫に当たり、黒龍会の内田良平の血脈道統を継ぐ親族。 著書に『昭和維新』(学研プラス)、『靖国に祀られざる人々』(学研パブリッシング)、『横浜中華街』(中央公論新社)、『実は日本人が大好きなロシア人』(宝島社)その他、共著、編著、雑誌など多数。



 


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