ディズニーリゾート 目指すのは「夢」か「利益」か
ゲストも気づいている「コスト削減」、その本当のねらいとは
約6割も……ショー運営費削減の事実
先に「過去のショーやイベント、企画等のような新しいチャレンジがなくなった」と書きました。これは具体的な「数」の減少にも表れています。
例えば、現在のパークの季節スペシャルイベント(ハロウィーンやクリスマスなど)におけるメインエンターテイメントは「1つ」がほとんどです。「ランドであればパレード」、「シーであれば水上ショー」がそれぞれ1つ開催され、その他は既存のショーが一部季節スペシャルイベントバージョンになる、というのが近年の傾向です。
2004年頃は、メインエンターテイメントが複数あり、他にも様々な関連イベントやショープログラム、企画がパークのあちこちで連続的に行われていました。
例えば、ディズニーランドのシンデレラ城の前で大規模なショーが行われたすぐ後にパレードが始まり、パレードが終わるとまもなく、再びシンデレラ城の前でショーが開催されるといったように、シンデレラ城前の大規模なステージショーが一日に4回、それに加えてパレードも複数回開催される事もありました。過去の東京ディズニーリゾートはイベントスケジュールがびっしりで、本当に一日では全部見られないと言ってもいいくらい、ショープログラムが充実していました。
このようなエンターテイメントの「数」の減少の背景として考えられる、具体的な数字があります。実は、東京ディズニーリゾートのショー運営費はこの10年間で激減しています。オリエンタルランドが発表している、ファクトブック(企業の財務内容資料)には、ショーやパレードに係る経費である、「エンターテイメント・ショー製作費」の予算が掲載されています。
それによると、10年前の2007年は「138億8000万円」であったのに対し、2016年末は「54億4900万円」。その差はなんと58.2%と、「約6割」の費用が削減されているという事実があります。