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パールハーバー襲撃の構想はどのように生まれたか

針路、パールハーバー! 目標、戦艦!! ~アメリカ太平洋艦隊の一大根拠地を叩いた奇襲作戦にまつわる航空エピソード~ 第2回

調査、研究を重ね実現された「Z」作戦

 大西は部下の先任参謀前田孝成大佐に調査させたところ、水深が浅いパールハーバーでの雷撃には浅深度雷撃が可能な航空魚雷と、強力な戦艦の装甲を貫徹可能な大重量の徹甲爆弾が必要という結論が得られた。そして1941年2月、彼は第1航空戦隊参謀源田実少佐に対し、パールハーバー攻撃に必要な艦上機兵力を算出するよう極秘の指示を下した。

 こうした草案を報告された山本は、懐刀の首席参謀黒島亀人大佐と戦務参謀渡辺安次中佐にさらなる研究と検討を託し、図上演習なども経てその実施は確定的なものとなった。かくしてパールハーバー奇襲は「Z」作戦として現実のものとなるが、同作戦そのものの解説は先行の詳細な研究に詳しい。

 そこで引き続き、攻撃に不可欠な海軍艦上機部隊の訓練や、要求された新型の魚雷と爆弾について紹介して行きたい。

〈次稿に続く〉

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白石 光

しらいし ひかる

戦史研究家。1969年、東京都生まれ。戦車、航空機、艦船などの兵器をはじめ、戦術、作戦に関する造詣も深い。主な著書に『図解マスター・戦車』(学研パブリック)、『真珠湾奇襲1941.12.8』(大日本絵画)など。


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